ロシアの下院議員らが2024年の大統領選の機会にクレムリンの指導者を変えるべきだと言い出した。5月27日、ロシア国営テレビの政治番組での議論だ。
ようやくロシアでプーチン大統領の交代が公共のメディアで議論され始めた。しかもこの議員らはその動機を「ロシアがヨーロッパとの関係を回復する」ためだとしている。
この議論を受けて、ロシア政治を綿密にフォローしている米国のジェームズタウン研究所は6月5日、ロシア政治が専門のパベル・ルージン博士(タフツ大学フレッチャー外交大学院の客員研究員)の解説記事「Succession in Russia? Publication: Eurasia Daily Monitor Volume: 20 Issue: 90」(Pavel Luzin,June 5, 2023)を掲載した。
どうやらロシアはリーダーシップの転換は不可避であると感じる現状に直面して、当事者も動き出したのではないか? そうかもしれない。
とにかく、ロシアを政治的に正常化し、政府がより穏健な政治グループのために働き、さらにロシア社会と西側諸国にとっても受け入れ可能な指導者を探しだそうという触れ込みだ。要するに指導者を交代させて、政治を正常化しようとする動きが始まったようだ。
次はミシュスチン首相で決まりなのか
ルージン博士はここで要旨次のように論じている。
「次期大統領候補者は危機を管理し、西側との関係を改善する必要があり、まずこの条件を満たす必要がある。危機管理能力とはロシア連邦保安庁(FSB)やロシア連邦警護庁(FSO)の指導部から信頼を得ている人間かどうかだ。また当然、モスクワの官僚的ゲームを乗り切るための経験も必要だ。
そして、ロシアを政治的に正常化し、ロシア政府が国内のより穏健な政治グループの為に働き、ロシア社会と西側諸国にとっても受け入れ可能な後任者を探し出すことが必要だ。これが政府の文民部門、ロシアの中心的なエリート層、国有企業のトップの管理者等、現在のロシア支配階級内の多くが抱いている考え方だという」。