2024年4月27日(土)

プーチンのロシア

2023年5月24日

 ウクライナのゼレンスキー大統領が電撃的に出席し、同国へのF16戦闘機への供与が事実上決まった広島での先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)の結果に、ロシアのプーチン政権が狼狽している。ロシア外務省は閉幕日の21日に「広島サミットはプロパガンダ・ショーに成り下がった」などと批判する声明を出したが、具体性のない空疎な言葉が並べ立てられている印象は否めない。ゼレンスキー氏はG7サミットへの出席を通じ、インドなどグローバル・サウスの主要国とも連携することにも一定の成果を出した。

(提供:Simon Dawson/No 10 Downing Street/Eyevine/アフロ)

 ロシアはミシュシチン首相を急遽中国に派遣し、ロシア・中国の連携をアピールするが、G7は中国には協議を呼び掛けるなど露中の接近にもくさびを打つ。中国からの支援を確保するために、ロシアは中国に対し一層下手に出ざるを得ないのは必至だ。

空疎な言葉の羅列

 「G7首脳らは広島で開催されたイベントをプロパガンダ・ショーに変質させた」「反ロシア、反中国をヒステリックにあおっている」「欧州はアングロ・サクソンに主権を譲り渡した」

 ロシア外務省の声明は、具体性のない言葉でG7への批判を並べ立てた。その内容からは、ロシアがむしろ今回のG7サミットでの決定事項や声明に対しての反論や、対応を決めることができていない現状が浮かび上がっている。それだけ今回のG7サミットの結果は、ロシアにとり衝撃的なものだったと推察される。

 最大の焦点は、米国のバイデン政権がウクライナ軍パイロットに対するF16戦闘機の訓練を支援すると発表し、欧州などの同盟国がウクライナに対してF16を提供することを容認した事実だ。この報道が流れた翌日の20日、ロシア外務省のグルシュコ次官が「事態をエスカレートさせる動きであり、西側に途方もないリスクを背負わせることになる。しかし、われわれは対応する用意がある」と反応し、その後のロシアメディアの報道もF16の供与に向けた動きをつぶさに報じ続けている。ロシア側がF16投入を強く警戒している実態を伺わせている。


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