韓国紙・中央日報の6月29日付の社説が、福島原発の処理水の海洋放出につき、野党の街頭闘争は理屈がないと述べている。主要点は次の通り。
福島原発「汚染水」の放出問題につき野党「共に民主党」は、尹錫悦政権が日本政府の計画を受け入れようとしていることに抗議するため、7月に全国的な街頭闘争をすると宣言した。「共に民主党」は、既に街頭行進やハンガーストライキで攻撃のレベルを上げている。
しかしそれは、物価高・高金利でただでさえ傷ついている一般国民の傷を深くするだけだ。漁民や海鮮食堂は、「放射線水産物」だとする激しい風評のため売り上げが激減、苦境に陥っている。一部の者は、日本の海洋放出の前に天日塩の買い溜めに走っている。政府が備蓄の天日塩を放出した後も、消費者はそれを買うため殺到した。処理水が健康上問題になるという科学的根拠がないにも拘わらず、人々の懸念は深まるばかりというのは悲しいことだ。
300議席の国会で167議席を有する野党が抗議運動に突き進むのは、全く無責任だ。野党が政権と闘いたいのであれば闘えばよいが、それは国会でやるべきだ。街頭闘争は、対立を激化させるだけだ。野党指導部は、こうした戦闘的な方法につきなぜ党内で反対が強まっているかについて良く考えるべきだ。
政府・与党も、根拠のない国民の不安を早く払拭すべきだ。与党が野党と話をすることを拒否するのは、望ましいことではない。政府は5月に福島に派遣した調査団の報告書を公表すべきだ。政府は、必要があれば処理水の安全性に関する明確な回答を日本側に求めるべきだ。説得力のある回答を持って安全性につき国民を納得させる努力をすべきだ。
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福島原発処理水の海洋放出が韓国で大きな政治問題になり、社会問題にもなっている。特に野党「共に民主党」は、国会での攻撃から街頭での抗議運動に反対を拡大し、政府攻撃のレベルを一層強めている。
その先頭に立っているのは反日トーンの強い李在明代表だ。7月7日にもソウルで大きな抗議集会が開催された。6月30日には野党の強行採決で福島原発汚染水放出計画の撤回を求める国会決議案が国会で採択された。野党の煽りも受け、天日塩の買い付け騒ぎも起きている。