2024年3月2日(土)

都市vs地方 

2023年8月4日

 それに対して、表1の大都市圏の多くは、一貫して人口増加を経験し、1965年に比べると、例えば三大都市圏である東京、大阪、名古屋ではそれぞれ都市圏規模が1.75倍、1.4倍、1.54倍になっている。福岡はさらに急成長し、2倍以上になっている。このことから、日本では、東京だけでなく、各地の大都市圏への人口集中が進んできたことが確認できる。

テレワークが大都市圏の成長を支える

 こうした大都市圏の成長を支えてきた重要な要因が、鉄道網に代表される交通インフラの整備である。都市圏の成長を妨げる代表的な要因は、いわゆる混雑の不経済とよばれるもので、通勤の長時間化、各種交通混雑、家を持たない人にとっての家賃上昇などである。

 これは、結局のところ、働くためか娯楽のためかを問わず都心に通う必要から生じており、その通勤負担を軽減するような交通インフラの整備は、混雑の不経済を緩和し、大都市の成長を可能にする。東京大都市雇用圏の3500万人というとてつもない規模を可能にしているのは、高度に整備された鉄道網であることに疑いはないであろう。

 テレワークの普及は、通勤負担を減らし、混雑の不経済という成長阻害要因を軽減することで、交通インフラ整備と同様、大都市圏の成長を促進する効果を持つ。そのため、先ほどのオフィス需要の変化は、こうした大都市圏の成長を加速する可能性を示唆している。

 実際、表1に記載された大都市圏の中心都市を抱える都道府県では、他の県よりもテレワークが普及している。総務省「令和3年通信利用動向調査」によると、15歳以上で過去1年間にインターネットを利用しており、企業などに勤務する人を対象とした調査で、回答者の中でテレワークをしたことがある人の割合を都道府県別にみてみると、最も高いのが東京都、次いで神奈川県、大阪府、愛知県、京都府と続く。このことは、すでにテレワークの普及が、大都市圏の拡大に一定の役割を果たしている可能性を示している。

 もしテレワークが極限まで導入され、一切の通勤が不要になれば、大都市圏というくくりが無意味になり、全国どこからでも好きな場所で働けるようになるかもしれない。ただ、そこに至るまで、大都市圏は存続し、テレワークの普及のような働き方の変化が大都市圏拡大に寄与するであろう。

 こうした変化は、企業活動を妨げない範囲で導入される限りは、大都市で働くための費用軽減につながる。歓迎すべきであり、その恩恵をどれだけ活かせるかが今後の大都市圏の成長を左右すると考えられる。

   
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。


新着記事

»もっと見る