2024年11月17日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年9月1日

 台湾の頼清徳副総統のパラグアイ訪問と米国への立ち寄りについて、2023年8月13日付のロイターの解説記事(ベン・ブランチャード記者)が、これを口実に中国が台湾周辺で軍事演習を実施する見込みや、バイデン政権が対中関与を維持するため頼副総統の米国立ち寄りを目立たせないよう腐心していることなどを指摘している。

2023年8月14日、パラグアイを訪問した台湾・頼清徳副総統(写真:ロイター/アフロ )

 台湾の頼清徳副総統は8月11日、ニューヨークに到着した。中国は頼の米国立ち寄りを非難し、台湾当局者は台湾周辺での中国の軍事行動の活発化を恐れている。

 来年1月の総統選で先頭を走る頼氏は、パラグアイの大統領就任式への参加の往路と帰路の途次に米国を経由するに過ぎない。控えめさを維持するため、台湾も米国も、米国での頼の日程の正確な詳細を明らかにしていない。

 外交関係のない台湾への窓口機関である米国在台湾協会(AIT)のローラ・ローゼ ンバーガー理事長はX(旧Twitter)で頼氏と会うと書いている。米台政府は、台湾当局者の米国立ち寄りは日常的であり中国が「挑発的」な行動をとる理由とはならないとしているが、中国は台湾に対する米国の支援の強化と見て怒りをもって反応した。

 米国は台湾と正式な外交関係を結んでいないが、最も重要な武器供給源であり、台湾の地位が争われていることは中国との摩擦の原因となっている。

 パラグアイは、台湾との正式な外交関係を維持している世界でも残り少ない国々の一つである。頼氏は2022年1月に、ホンジュラス(当時は台湾と外交関係があったが2023年に中国に外交承認を切り替えた)を訪問する際に米国を経由した。

 頼氏は、パラグアイ訪問を、同国との関係を深めるだけでなく、他の国々との 「自信に満ちた」交流や志を同じくするパートナー国の代表団との会談に活用すると述べたが、それが誰であるかは明言しなかった。今回の訪問は「台湾が民主主義、自由、人権を堅持し、国際問題に積極的に参加する国であることを国際社会に理解させるものだ」と頼氏は付け加えた。

 バイデン政権は台湾の選挙前に緊張を高めないように、また最近の米国の中国高官との関与のモメンタム(勢い)を維持するため、頼氏の訪問を目立たないようにすることに熱心だった。それには中国の王毅外相の訪米の可能性も含まれており、それはバイデンと習近平が年内に会談する道を開くかもしれない。

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 台湾副総統・頼清徳がパラグアイへの往路にニューヨークに立ち寄り、また、帰路にサンフランシスコに立ち寄ることとなった。


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