2024年5月20日(月)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2023年9月20日

 国際的な視点で見れば、誤った処方箋で薬(資源管理)を飲み続けてきた結果が出ています。それは、世界全体と非常に対照的な、現在の形で記録が残る1956年以降で400万トンを切り、過去最低を記録した昨年の生産量(386万トン)に他なりません。生産量は漁獲量と養殖量の合計です。

必要となってくる「大幅な漁獲制限」や「禁漁」という選択肢

 かつて1200万トンあった生産量は3分の1以下になりました。そして順位は下がり続け、21年には遂に世界10位からも滑り落ちました。世界三大漁場の一つである北西太平洋を漁場に持ち、かつて1970年代前半~1980年代後半にかけて、世界最大の漁獲量を誇って繁栄していた日本の漁業の姿はありません。この厳しい現実に目を背けてはいけません。

 筆者は、長年北欧をはじめとする資源管理を研究しており、世界の漁業関係者と交流があります。日本の資源管理や獲り切れないTACの設定などは、北欧の漁業関係者を始め絶対に陥ってはならないケースとして映っています。

 サンマが獲れなくなっている最大の原因は、科学的根拠に基づく国別TACがないために、資源管理が機能していないからです。国は漁業法改正で、20年12月より、数量管理に基づく資源管理に舵を切りました。しかしすでに取り返しがつかない段階に来ている魚種が数多くあります。

 年によって漁獲量が多少増えたりすることもあるでしょう。しかしながら、資源管理が機能していない状況下では、少し増えても日本漁船も含む各国が入り乱れて漁獲してしまいます。そして例外なく資源も漁獲量も減少していきます。

 いま必要なのは、サンマが減っている本当の原因を理解することです。そして将来の為に、禁漁も含めた大幅な漁獲制限が必要になっている現実に気付くべきではないでしょうか? サンマ資源が枯渇してしまえば、日本漁船や外国漁船もなくおしまいです。そして消費者も含め多くの人が困ることになります。

連載「日本の漁業 こうすれば復活できる」では、日本漁業にまつわるさまざまな課題や解決策を提示しております。他の記事はこちら

   
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