2024年3月2日(土)

田部康喜のTV読本

2023年10月7日

 大川原化工機の社長ら幹部3人が逮捕されてから3人とも容疑を否認した。拘留は1年近くの長期に及んだ。令和3年版警察白書ではこの事件を「経済安全保障」の項目のなかで(無許可輸出)として警察内部で高く評価されていた。

「止められる方法は思いつかない」

 逮捕から8カ月後、警視庁内部からの告発状が大川原化工機に届く。差出人は警視庁の名前で住所も所在地である。今回のドキュメンタリーで大川原社長が金庫のなかから告発状を取り出して初めて撮影させた。

 「匿名での文章で大変申し訳ありません。地方公務員法に抵触するおそれがあることから、本名を明かさず、文面にて連絡させていただきます。不審と感じることと存じますが、ご容赦願います。
 担当直入(ママ・単刀直入)に記しますと、
 警察庁に■(黒塗り、本文には名前あり)捜査員がおり、貴社へも何度か出入りしていると記憶しています。彼は貴社側に立った見解を持っており警察組織の意向とは関係なく、自分の意見を貫くタイプの人間です。
 貴社に有益かつ警察側に不利益となる情報が明らかになると確信しています」

 この内部告発状が届いてさらに8カ月後に起訴が取り下げられた。

 取材班は告発状を送ってきた匿名の警察関係者に接触することに成功する。ちなみに、民事訴訟において、“冤罪”の可能性を証言しているX、Y警部補とは別人である。

 「(拘留中に病が見つかり亡くなった)相嶋さんの死については自分の親だったらと思うと本当に申し訳ない。今、捜査当時に戻ってもこうすれば止められたのかという方法を思いつかない。上層部がそろって応援し、令状もある。そこで違うと言い出すには勇気がいる。自分には止める力がなかった。やりそうな人材は組織にはまだまだいる」と。

 民事訴訟において、裁判長がX警部補に発言の機会を与えた。

 「輸出自体は問題ないので、あとは捜査員の個人的な欲というか動機がそうなったんではないかと私は考えます」

 裁判長が「欲を抱くような具体的な理由とかについてご存じのことというのは」と尋ねると。

 「定年も視野に入ってくると自分がどこまであがれるのかと、そういったことを意識されたんではないかなと思います」

   
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