2024年4月15日(月)

Wedge2023年10月号特集(ASEAN NOW)

2023年10月14日

今年は、日本ASEAN友好協力50周年の節目の年です。日・ASEAN関係は今、リージョナルパートナーからグローバルパートナーへと変貌しつつあります。「Wedge」2023年10月号に掲載されている「日本人なら知っておきたい ASEAN NOW」記事の内容を一部、限定公開いたします。

 今から40年前、赤道直下の島国シンガポールは日系ホテルの進出ラッシュに沸いていた。

ドバイに進出したタイのデュシタニ・ホテル。左後ろには「ブルジュ・ハリファ」が見える(NURPHOTO/GETTYIMAGES)

 当時の新聞記事は「シンガポールホテル戦争激化」(日本経済新聞、1983年10月26日付)との見出しで、日本航空(JAL)、全日本空輸(ANA)、東急、ホテルニューオータニ、プリンスホテルなどが開業計画を進めていることを伝えている。日本はこの年、出国日本人数が入国外国人を約233万人上回る状態であった。日本人の出国は年々増え、80年代後半以降に本格期を迎える海外渡航ブームが顕在化しつつあった。その主要渡航先の一つがシンガポールで、同国の繁華街では買い物袋を手に闊歩する日本人観光客の姿が目立ち始めていた。日系ホテル各社はそんな日本人の宿泊需要を取り込もうと、シンガポール市場に続々と名乗りを上げていたのだ。同様の現象は、他の東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国でも程度の差はあれ、起きていた。

 それから40年後の今、起きていることは真逆である。ASEAN諸国のホテルが日本へ相次いで攻め込んでいるのだ。タイの老舗ホテル、デュシット・インターナショナルは今年6月に京都に若者向けホテルを開き、9月には同じ京都に基幹ブランド「デュシタニ」を冠する高級ホテルを開業する予定だ。タイの有力財閥、セントラル・グループも今年7月に大阪・難波にホテルを開業した。シンガポール勢ではバンヤンツリー・ホールディングスが2024年に京都、26年に箱根、カペラホテルグループが25年に京都で新ホテルを開業するという。

 この逆向きの進出ラッシュの裏には、もちろんASEAN諸国からの訪日客の急増がある。昨年まで3年間は低迷したが、コロナ禍が収束した今年は客足が急回復し、今年1〜6月のASEAN主要6カ国(シンガポール、マレーシア、タイ、フィリピン、インドネシア、ベトナム)からの訪日客数は合計172万人と前年同期比約9倍に膨らんだ。特に増加が著しいのはタイ(約49万8000人、44倍)、シンガポール(約25万3000人、70倍)の両国だ。ASEAN系ホテル各社は今後さらに増えそうな自国民を中心とする宿泊需要を狙って日本市場で攻勢をかけている。ここで筆者が注目したいのは、ASEAN企業が国外へ果敢に進出し、国際プレーヤーとして存在感を高めている点だ。


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