石油と天然ガスは何からできた?
石油と天然ガスは藻類、プランクトンの死骸などからできていると考えられていますが、石炭と異なり顕微鏡で観察しても元が何かを知ることはできません。このため石油は生物起源ではなく、地球深部で無機的な反応により炭化水素が生成され石油が生まれているという学説もありますが、少数派です。
生物起源説での石油の生成は次のように行われます。約5000万年から1億年以上前にプランクトンなどが海底に堆積し、ケロジェンと呼ばれる有機物になり、地熱、圧力により長い時間をかけ分解され頁岩(シェール)、泥岩に石油、ガスとして滞留します。
やがて、石油、ガスを含んだ水が砂のような浸透性の高い地層に移動し、水より軽い石油、ガスが上部に集まります。この貯留された石油・ガスを逃さない層を上部に持つ山状の背斜構造があれば、そこに集積し石油、天然ガス鉱床が形成されます(図-1)。
通常の石油鉱床と異なり、オイルサンドと呼ばれる石油分を含む砂岩もカナダ、ベネズエラ(オリノコタール)に大規模に分布しています。
また、頁岩の中に賦存するシェールオイル、シェールガスも以前から知られていましたが、技術開発が成功し2000年代後半から米国において商業生産が始まりました。
石炭と異なり、石油と天然ガスは地球上で偏在しています。化石燃料はどの国に多くあるのでしょうか。
化石燃料を持ち生産している国は?
石炭はアジア、ロシア、欧州、豪州に比較的万遍なく埋蔵されています(図-2)。石炭埋蔵量世界一は米国ですが、生産では中国が世界一です。
中国は世界の石炭の50%強を生産しています(図-3)。次いでインドが世界2位ですが、この両国は経済成長に伴うエネルギー需要の伸びを自国産の石炭で満たしています。自国産石炭だけでは不足するため輸入するほどです。
第3位のインドネシア、第5位の豪州は生産量の大半を輸出しています。日本の燃料用石炭の7割以上は豪州が供給しています。
石油は、中東諸国に偏って埋蔵されています。ベネズエラとカナダの埋蔵量が大きいのは、それぞれオリノコタール、オイルサンドが含まれているからです。
在来石油だけの埋蔵量であれば、サウジアラビアを筆頭に中東諸国が世界の大半を占めています(図-4)。
米国は世界一の石油産出国ですが、自国内の石油需要をすべて賄うことはできず、依然石油を輸入しています。米国は天然ガスと石炭を輸出しており自国産のエネルギー供給量が需要量を超えているので、エネルギー自給率は100%を上回っています。