2024年11月22日(金)

家庭医の日常

2023年10月29日

 現在日本では、ニルマトレルビル/リトナビル(商品名:パキロビッド®︎パック)、モルヌピラビル(同:ラゲブリオ®︎)、エンシトレルビル(同:ゾコーバ®︎)という3種類の経口薬と、レムデシビル(同:ベクルリー®︎)という1種類の点滴静注薬が使用できる。

 入院を要しない程度の症状では、重症化リスク因子を有するCOVID-19患者に対する重症化予防効果がニルマトレルビル/リトナビル、レムデシビル、モルヌピラビルの3剤に認められている。ただし、重症度の高い(概ね中等症II以上)患者に対する有効性は確立していない。

 エンシトレルビルは日本で開発され緊急承認された薬で、承認時における有効性・安全性の情報が限られている。他の3剤と異なり、重症化リスク因子の有する軽症例に対して重症化予防効果を裏付けるデータは得られていない。また、重症度の高い(概ね中等症II以上)患者に対する有効性は確立していない。したがって、重症化リスク因子の無い軽症例に対して用いることが基本になるが、この場合には特別な治療をせずとも自然に軽快することが多いので、そもそも抗ウイルス薬による治療が必要かを判断しなければならないだろう。

 実際には、患者の腎機能と肝機能、併用している薬、妊娠中または妊娠している可能性のある女性、授乳中の女性、費用対効果、患者の生活の質(QOL)などの条件を十分に考慮して、適切な抗ウイルス薬を選択しなければならない(『診療の手引き』24、46ページの図を参照)。

ワクチンは接種すべきか

「コロナの予防接種の案内が届いたんですが、した方が良いでしょうか。もうコロナにかかった人はワクチンしなくていいですか」

「接種することをお薦めします。コロナに一度感染しても再感染することがあるし、感染後のワクチン接種で防御力がさらに高まることが知られています」

 新型コロナワクチンについての情報は、厚生労働省ホームページの『新型コロナワクチンQ&A』がお薦めである。見やすいレイアウトで、動画もあり、新型コロナワクチンについてのさまざまな疑問について答えを見出すことができる。

 残念なのは、このページに辿り着く前のホームページが厚生労働省のいつもの無味乾燥な(失礼!)レイアウトなので、「Q&A」をクリックするまでに相当時間がかかる人も少なくないだろうと推察される。もうひと工夫ほしいところである。

 「もうお腹いっぱいって感じですけど、コロナについていろいろわかって良かったです」

 「僕は、C.U.さんとこのおにぎりをお腹いっぱい食べたいです(笑)。ま、冗談はさておき、臨床研究のエビデンスも示している予防と感染拡大防止の基本は依然として、頻繁に手洗いをする、人混みを避ける、TPOに応じてマスクを着用する、そしてワクチン接種です。これは季節性インフルエンザでも同じです」

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