アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催されていた第28回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28)は、12月13日の成果文書の採択をもって閉幕した。COP28では、産油国でありながら脱炭素政策を牽引するUAEが議長国を務め、化石燃料の扱いに注目が集まっていた。化石燃料全般の段階的廃止を主張する欧米諸国等と、それに反対する産油国との間で、最終合意をめぐって攻防が繰り広げられた。
これまでのCOPにおける議論
COPの歴史は1990年代に遡る。国連環境開発会議(地球サミット)が92年にブラジルのリオデジャネイロで開催され、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)が批准された。その後、95年より締結国会議(COP)が毎年開催され、気候変動対策の国際協議の場となった。
歴代COPで注目されたのは、97年に京都で開催されたCOP3と、2015年にパリで実施されたCOP21である。まずCOP3では、欧州や日本などの先進国が温室効果ガスの排出削減義務を負うことを定めた「京都議定書」が採択された。一方、経済成長の過程にある中国などの途上国には、制約が課されなかった。それに不満を抱いた主要排出国の米国は、同議定書の批准を拒否した。
次にCOP21では、途上国も対象とした地球温暖化の防止に向けた国際条約「パリ協定」が採択された。同協定の目標は、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度より低く保ち、1.5度以下に抑えることである。同協定により、先進国と途上国が一丸となって気候変動対策に動き出し、各国は自主的に温室効果ガス削減・抑制目標を策定することになった。
しかし、京都議定書とパリ協定の大きな相違点は、罰則規定の有無である。京都議定書には罰則規定があるものの、パリ協定は国連に削減目標を提出する義務しかない。このため、2030年に向けた各国の数値目標が緩めに設定されるケースがあるなど、パリ協定の実効性が問われている。
パリ協定以降の世界的な脱炭素化の流れの中、世界有数の石油・ガス産出地域である中東のUAEで、COPが開催された。COP28に際し、世界各国の首脳クラスもUAEを訪れ、気候変動対策の重要性を訴えた。