2024年12月2日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年1月23日

 2024年1月3日付の英Economist誌は、「ネタニヤフは戦争をやりそこなっている。彼を首にする時だ。安全であるためにイスラエルは新しい指導部を必要とする」との社説を掲載している。

(ロイター/アフロ)

 中東で大混乱がある。ガザでは200万の戦争で傷ついた民間人が飢餓の危険にある。フーシ派による貨物船攻撃は世界貿易を脅かしている。

 イスラエルの北部国境は、1月2日のベイルートでのハマス幹部の暗殺の後、緊張している。その1日後、2つの爆発がイランで約100人を殺害した。イランは最初「テロリスト」を、その後、米国とイスラエルを非難した。

 戦争がイスラエルとヒズボラの間で始まりうる。二つのことは明確である。昨年10月7日の攻撃は中東を再構成している。そしてネタニヤフの指導のもと、イスラエルは自分の安全保障を掘り崩すヘマをしている。

 2023年10月のハマスによるイスラエル民間人の虐殺以来、イスラエルはその長く続いた安全保障ドクトリンを再考せざるをえなくなった。このドクトリンはパレスチナとの和平をあきらめ、壁を作り、ミサイル攻撃と武装勢力の浸透を撃退するために技術を使うことであった。これは機能しなかった。

 パレスチナ人は過激になり、壁は10月7日の残虐行為を止めなかった。イスラエルの防空はまたイランが支援するレバノン、イエメンなどの民兵がイスラエルに向けて発射する益々洗練されたミサイルで圧倒されうる。

 新しいイスラエルの安全保障ドクトリンはどうあるべきか。本誌はガザの権力の座からハマスを除去することを支持する。

 ハマスはガザの人々を抑圧し貧しくし、和平への障害でもあった。イスラエルはその戦いはテロリストに対するものであると明確にすべきである。

 これは賢明に力を使い、もっと多くの援助搬入を許すことを意味する。それはまた穏健なパレスチナ国家への道を作り出す戦後の計画を持つことを意味する。そのようなアプローチは米国などでのイスラエルへの支持を維持する助けになろう。

 米国はイランを抑止し、イランの影響力に反対している湾岸諸国とイスラエルのデタントを支持している。もっとも重要なのは、イスラエル自身の安全保障を強めることである。


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