2024年1月1日付の英フィナンシャル・タイムズ紙社説は、来る米大統領選は米国の魂が掛る闘いであり、バイデンはトランプとの闘いが米国の民主主義を守るかどうかの選挙であることをもっと明確に提起すべきだと述べている。
米大統領選は歴史的選択を示し、長期的影響を及ぼす選挙だと言われる。特に、24年に予想されるトランプ対バイデンの闘いは、新たな種類の大統領選と考えることが合理的だ。
南北戦争以来初めて、米国の政治体制自体が選挙の争点になる形勢だ。しかし、その前に米最高裁が最も大きな政治的影響を齎す判断を下す。それは、米憲法修正第14条によりトランプを投票用紙から排除することができるかどうかを判断する。
コロラド州の最高裁とメーン州の州務長官は、トランプが米国に対する反乱に加担したとして、州の予備選に立候補する資格がないと決めた。判断がトランプに有利になれば、それは米国民が今迄見たこともないような激しい論争になるだろう。
基本的な選択は、米国の民主制度を代表する大統領と、ゲームのルールの破壊を誓った男との間の選択になるだろう。トランプは、抗議活動鎮圧のために反乱法を発動して軍を展開すると明言している。
また、同人は個人的な復讐のために司法省を使うだろう。元司法長官バー、元首席補佐官ケリー、元合同参謀本部議長ミリー、そして「バイデン犯罪ファミリー」を投獄すると繰り返し明言している。
米国の民主主義は危機に瀕している。しかし、経済の状況とトランプの裁判は選挙人に大きな影響を与えるだろう。12月に米連銀が金利は頂点に達したとのシグナルを出したことは、バイデンにとっては久しぶりの良いニュースだった。借り入れコストが下がれば、バイデンの支持率は上がるだろう。
20年の選挙転覆容疑に関する3月の裁判でトランプに有罪判決が出れば、それは無党派層に影響を与えるだろう。皮肉なのは、世論調査によれば民主主義の未来が掛っていることがいまだ有権者の最重要関心事項にはなっていないことを示唆していることだ。
その責任の一端は、バイデン自身にある。民主党はこれまで、最大の争点は何であるかにつき十分説明して来なかった。それを正す時間はまだある。2024年選挙に向けて、それ以上に緊急の課題はない。
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この社説が言う24年米大統領選挙の視座は、極めて的確だ。正に「米国の魂が掛かる大統領選」である。
仮にバイデン対ヘイリーであれば、同じ民主主義の箱の中の闘いであろうが、トランプとの対決は箱の中か、箱の外かの対決になる。米有権者の賢明な判断に期待したいところである。