2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年3月8日

 もう一つ難しいのはリーダーシップである。欧州の中でどの国がロシアとの対決を引っ張っていくのか。ドイツにしても、フランスにしても、国内状況や歴史的経緯を考えれば、欧州をまとめてロシアと軍事的に対抗していくことは容易ではない。

 だとすれば、欧州にとって、一方で米国をつなぎ止めるため、また、米国が当てにならない時の備えとして自らの防衛力を拡充しつつ、他方で米国の積極的な関与を得るべく働きかけていく以外に当面の策はなかろう。

日本にとっても他人事ではない

 当然のことながら、欧州としてどれだけロシアの脅威に備えなければならないかは事態の展開次第である。①旧ソ連の非NATO加盟国(ジョージア、モルドバなど)、②旧ソ連の現NATO加盟国(バルト三国)、③旧ワルシャワ条約機構国の現NATO加盟国(ポーランド、チェコ、ハンガリーなど)と、いくつかのカテゴリーに分けて考えるべきだろう。

 2008年のジョージア、14年のウクライナ(クリミアとドンバス)、22年のウクライナと、戦火はまず①の旧ソ連の非NATO加盟国で起こった。ウクライナの次があるとすると、真っ先に脅威にさらされるのも、このカテゴリーの諸国であろう。

 米国が当てにならないとの見方が広がる中、どのように自らを防衛するかの問題は日本にとっても他人事ではない。自らの判断で最善と考える道を選んでいくべきである。

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