2024年11月21日(木)

Wedge REPORT

2024年4月3日

 機能性表示食品は事業者の責任で機能性を表示するのに対し、トクホは国が関与して健康効果の表示を認めたものだ。トクホの申請には1億円以上の費用がかかるといわれるが、機能性表示食品はもっと低い費用で開発できる。その結果、これまでに約6800品目もの機能性表示食品が誕生した。

 ここで知っておきたいのは、ドラッグストアなどで販売されている健康食品には「トクホ」や「機能性表示食品」のほかに、「いわゆる健康食品」が数多く流通していることだ。機能性表示食品の表示の根拠となる資料は消費者庁のホームページで読むことができるのに対し、「いわゆる健康食品」はごく普通に数多く流通していながら、表示の根拠が全くわからず、その根拠となる研究データも公表されていない。

 効果や安全性の信頼性を順序で示すとすれば、トクホが一番で、次に機能性表示食品、そして「いわゆる健康食品」となる。

機能性表示食品自体が問題ではない

 今回の問題で一部メディアでは「機能性表示食品だから健康被害が発生した。機能性表示食品はなくすべきだ」といった意見も出ているが、それは的外れだ。事故を受けて、自見英子消費者相は「機能性表示食品の安全性そのものに大きな疑念を抱かせる深刻な事態だ」(読売新聞3月27日)と語ったが、それを言うなら、全く野放しの「いわゆる健康食品」はどうなるのか。今度の事故は機能性表示食品自体から生じたものではない。 

 では、何が今回の問題を引き起こしたのだろうか。機能性表示食品の制度自体ではなく、企業による品質管理のどこに問題があったかが問われているのである。

 小林製薬は3月29日の会見で青カビがつくる天然化合物「プベルル酸」が紅麹原料から検出されたと公表した。この物質が腎臓疾患の原因かはまだ分からないが、今度の事故が製造工程の品質管理に起因していることは確かだろう。

 健康食品問題に詳しい長村洋一・日本食品安全協会代表理事は「機能性表示食品がいい加減に製造されているから、今度の問題が起きたという認識は間違い」としたうえで次のように指摘する。

 「消費者庁の届け出書類などから類推して、小林製薬は品質管理に相当努めていたと思われる。それでも事故が発生してしまったのは、機能性表示食品制度で要求されている品質管理の甘さが考えられる。現状ではトクホも機能性表示食品も要求されている品質管理のレベルは同じであるため、今回のような事故はトクホにおいても発生する可能性が内在している」


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