その他、CHPの党首が大統領選挙で敗北したクルチダルオールからオゼルに交替したこと、AKPの与党連合から離脱したYRP(New Welfare:イスラム主義の保守政党)が一定の票をAKPから奪ったこと(総得票数で6%を獲得し、2つの県で勝利した)も要因に数えられている。
エルドアンは彼にとって最大の脅威であるイスタンブール市長イマモールを追放することに失敗したのみならず、5大都市すべてでCHPに敗北した。彼は敗北を認め、過ちを改め、28年の選挙に向けて挽回を期すことを誓った。
エルドアンはどう動くのか?
エルドアンの地位が今回の敗北で直ちに脅かされる訳ではない。しかし、大統領として少なくとも更に一期を務めるために、憲法を改正して28年の大統領選挙に出馬を可能にするという取沙汰される彼の希望は、今回の敗北の規模によって失われたかもしれないという憶測が行われている。
イスタンブールのイマモール市長の勝利(再選)とCHPの最大野党としての復権は、トルコの政治を大きく変えるのではないかと思われる。エルドアンがイスタンブール市長を経験した後に大統領に辿り着いたように、イマモールもまた同じ軌跡を辿り、28年の大統領選挙に打って出る展望が開けることとなった。
イマモールが実権のある大統領に就くことはエルドアンにとって悪夢であるから、エルドアンは実権のある大統領制を放棄して議会制に立ち返ることを画策するかも知れないと憶測する向きもある。
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。