2024年3月31日付の英フィナンシャル・タイムズ紙が、フランスのマクロン大統領のウクライナへの部隊派遣を排除しないとの発言(2月26日)をバルト諸国、フィンランドが評価している旨のBen Hall 同紙欧州担当編集者らによる解説記事を掲載している。
「フランスのマクロン大統領が、ウクライナに軍隊を派遣する可能性に言及して、西側のウクライナ支援の限界がどこにあるのかを考えさせる策をとったのは正しいことだったと思う」とフィンランドのエリナ・ヴァルトネン外相は述べた。
このヴァルトネン外相の発言は、マクロン大統領がロシアに対する対応を転換し、ロシアがウクライナにおいて敗北することが欧州の安全にとって最も大事なことだと述べたことが、北大西洋条約機構(NATO)の前線に位置する国で好評であったことを示している。
マクロン大統領は、2月に、ロシアのウクライナでの勝利を阻止するために、戦闘部隊を派遣することもあり得ると述べて同盟諸国に衝撃を与えた。マクロン大統領は、ロシアとの間で「戦略的曖昧さ」を再構築しようとしたのだと説明した。しかし、ドイツ、米国、英国は、すぐに部隊派遣を否定し、マクロン大統領が構築しようとした「曖昧さ」も否定されてしまった。
エストニアのマルガス・ツァフクナ外相は、マクロン大統領の発言は、ヨーロッパの指導者の目を覚まさせた、陸上部隊を送るよりは武器とお金を送る方がより安全だと指摘した。フィンランドとバルト諸国は、欧州連合(EU)が合同軍事調達と防衛産業協力で役割を拡大するという考えに賛同している。
しかし、大きな違いも存在する。バルト諸国は、トランプが大統領に返り咲いて、米国のコミットメントに疑念が持たれるようになったとしても、NATOを犠牲にして、EUの防衛の役割を拡大することには懐疑的である。また、フィンランドのヴァルトネン外相は、EUの防衛産業の協力は、すべてのNATO加盟国にオープンであるべきであり、EU加盟国だけに限るべきではないと述べるが、これは、フランスにとってのレッドラインだ。