2024年7月16日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年5月2日

選挙結果で見える韓国世論

 民主党が勝利した理由は、与野党双方にある。第一に、大統領、与党の責任がある。大統領と与党の関係は必ずしも旨く行っていなかった。尹錫悦の指導スタイルは傲慢で、やや強権的とみられた。

 また金建希大統領夫人の高級ハンドバック受領問題など幾つかのスキャンダルが足を引っ張った。更に選挙戦略も明確でなかったのではないか。今の経済状況も政権側に不利に働いた。

 第二に、今回の選挙戦は、与野党間の非難合戦の様相が強かったことが指摘されている。野党は、「反司法」の選挙、「司法リスク」を抱える立候補者の反撃の選挙をした。民主党代表も捜査を受けている。反司法で野党のエネルギーが復活したようだ。

 今回選挙の最大の特徴は、祖国革新党の躍進である。曺国は2月に急遽、祖国革新党を結成し、「曺国旋風」を引き起こした。曺国は、文在寅政権下の法相で娘の大学不正入学容疑や自らの論文盗用容疑等で有罪、控訴審で実刑判決を受け、今最高裁に控訴中である。ソウル大学の教職も解任され、大学教授の夫人も娘の大学不正入学に関与し、4年の刑が確定して目下服役している。

 同党の候補者の中には、検察の捜査を受けたり、起訴されたりした者が多数いるという。当時の検事総長尹錫悦に対する怨念が、今回選挙のエネルギーになったと言える。曺国は金建希を捜査する特別検察官の設置を求めると宣言している。尹錫悦弾劾にも言及した。同党は、反尹錫悦、反李在明、親文在寅勢力の受け皿になったのであろう。

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