2024年6月15日(土)

お花畑の農業論にモノ申す

2024年5月30日

 玉ねぎ・にんじん・バナナなど、食卓での出番の多い野菜や果物が軒並み値上げされるなか、ついにキャベツやアボカドまでもが記録的な高騰を見せた。その影響により、メニューの値上げを余儀なくされる飲食店も増えている。輸入食材に頼る側面も大きい日本では、天候不順やロシアによるウクライナ侵攻、円安なども、食料高騰の一因となっている。
 そのような状況下、とどまるところを知らない高騰に待ったをかけることはできるのか。日本が行うべき対策とは? 2022年6月7日に掲載した『日本がイモ中心の食生活にならないようにすべきこと』を再掲する。

 食料危機が、現実感を帯びてきた。世界的なインフレの進行下、供給国で頻発する穀物・油糧種子の不作に加えて、ウクライナ侵攻によるサプライチェーンの寸断、ロシアへの経済制裁による輸入資材の不足から来る生産性の低下などで、食料の需給ひっ迫状態は今後も続くだろう。さらには、従来の穀物・油糧などの輸出国が「自国優先」で輸出を制限し始めており、悪循環に陥っている感が強い。

(theevening/gettyimages)

 食料の供給不足・価格高騰に対して最も大きな影響を受けるのは、所得の低い発展途上国である。とりわけ、黒海経由でウクライナからの穀物輸入に依存してきた中東、北アフリカ、サブサハラの国々には甚大な影響が生じている。

日本の対策に必要な4つの視点

 こうした状況に対し、日本の新聞各紙の社説などでは、「国連による予測では、世界で深刻な食料不足に直面する人の数は、コロナ禍前に比べて、2億7600万人へと倍増している。港湾の封鎖解除、鉄道や車による陸路の整備で、ウクライナ穀物の滞留改善への支援が急がれ、日本でも小麦など穀物の国内生産の拡充や、消費が低迷するコメの需要拡大策が望まれる」(23年5月29日、読売新聞)と一定の危機感を見せている。

 また、日本経済新聞は、同月27日に、①穀物輸出国との安定した関係の維持、②輸入に頼っていた小麦などの生産の増強、③食料安保の観点からコメ輸出の拡大(海外に開拓の余地がある)、④輸出増大は穀物需給ひっ迫時の国内への振り向けが可能などと報じている。

 日本農業新聞は、「輸入小麦は一層の高騰が見込まれる。国産にとっては増産の契機だ。食料安保やコメの需要減も踏まえ、……品質や収量の安定、幅広い用途向けの品種など実需者の要望に応え、切り替えを促したい。……実需者にもこれまで以上に後押ししてもらいたい」(同月27日)と、コメの減産や国産優先消費への思いが強く出ている。

 日本でも注目が高まりつつある食料危機対応策を万全にするためには、次の4つの視点をぜひ加えたい。

① なぜ日本は農地換算で1200万ヘクタール(日本の農地面積の3倍に該当)にも及ぶ穀物・大豆を海外から輸入・消費しているのか。畜産業の実情と消費行動・食生活。

② 日本の農地はフルに利用されているか。コメの減産政策と耕地利用率。

③ 短期・中期のタイトな需給調整対応策に加え、いざ食料危機という時の姿を想像・認識できているか。「自給力」向上の方策。

④ 食料生産の基本要素である農地、水、技術、担い手の現状。


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