2024年7月8日(月)

「最後の暗黒大陸」物流の〝今〟

2024年6月5日

日本の内航海運におけるRORO船とコンテナ船の実力

 とはいえ、「物流革新緊急パッケージ」における分担率倍増の実態がどうであれ、RORO船やコンテナ船の船腹量が潤沢にあれば、「2024年問題」の解決に有効なモーダルシフトを引き受けることができる可能性があると考えて良いであろう。

 下表は、日本の内航船の船腹量を16年以降総トンベースで追いかけたものであるが、RORO船とコンテナ船の船腹量を合算しても、内航船全体の船腹量の10%台半ばから12%台半ばといったところである。

 図1.における海運貨物流動の11.70%という分担率を勘案すると、RORO船とコンテナ船の船腹量が全輸送モードのキャパシティに占める割合は、恐らく1%前後に過ぎないと考えられるであろう。

 加えて、近年のRORO船とコンテナ船の船腹量の推移を見ると、下図の通り横ばいから漸減傾向にあり、これを増加傾向にシフトさせるには、大きなエネルギーが必要であると考えるべきであろう。

 すなわち、現在の日本の内航海運におけるRORO船とコンテナ船は、「2024年問題」の解決に有効なモーダルシフトを引き受けるに足る船腹量を有してはおらず、かつそれを短期的に拡大することも困難であると思われるのである。

国内旅客船事業の規制緩和の爪痕が残るフェリー輸送

 ここで忘れてはならないのは、表1.の貨物流動においてRORO船とコンテナ船を合わせたよりも高い分担率を示しているフェリーの状況であろう。

 下表は、2010年以降のカーフェリーの事業者数・航路数・隻数・総トン数・トラック航送台数の推移を2000年の数値との比較で追ったものである。全ての統計数値が2000年の数値との比較でかなり大きく減少していることが見て取れる。

 1990年に始まったトラック運送事業の規制緩和は新規参入を促し過当競争を増幅したが、2000年に施行された国内旅客船事業の規制緩和は、それとは反対に退出を促し、結果として上図が示す通り、カーフェリー市場の縮小をもたらすことになり、現時点においても2000年以前の規模には復していないのが実情である。


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