また、比較的最近の11年以降の傾向を前年比で見ても、下図が示す通り、総トン数以外の統計数値は減少傾向を示しているのである。
船腹量を示す総トン数の増加傾向には若干の頼もしさを感じるものの、事業者数・航路数・隻数の減少傾向はフェリー市場の縮小傾向を示していると言わざるを得ない。トラック航送台数(フェリーに搭載して輸送したトラックの台数)の減少傾向がそれを裏打ちしていると考えるべきであろう。
以上を勘案すると、RORO船輸送とコンテナ船輸送同様フェリー輸送についても、「2024年問題」の解決に有効なモーダルシフトを短期的に引き受けることは困難であると言わざるを得ないであろう。
日本のモーダルシフトに不可欠な中長期的対応
ここまで読み進んで来られた読者の中には、トラック輸送からRORO船・コンテナ船・フェリーへのモーダルシフトに対して、筆者が否定的であると感じられた方々が少なからずおられるかも知れない。しかし、実際には筆者の考えは全く逆である。
それどころか筆者は、モーダルシフトは日本の貨物輸送が「2024年問題」から脱却し、生まれ変わるために必要不可欠な戦略であると確信しているのである。
しかし、モーダルシフトの推進には、上述の通り数々の阻害要因があるため、すぐに実行できることは限られており、故に熟慮熟考の上で点滴岩を穿つが如き対応が必要であると考えているのである。
次回は、そのような観点に立って、日本の内航海運事業にはどのような選択肢があるのかにつき、考えてみたいと思う。