2024年11月24日(日)

はじめまして、経済学

2024年6月24日

 一般的な傾向として、日本人は銀行におカネを預けることは安全であると考える人が多いようですが、それは誤解です。銀行も「株式会社」の形態を冠する企業のひとつであり、様々な安全策がとられているとはいえ、倒産のリスクはゼロではありません。

 実際、ここ最近ではアメリカ国内の銀行破綻が続いています。2023年5月には、経営不振に陥っていた中堅銀行「ファースト・リパブリックバンク」が破綻し、米連邦預金保険公社の管理下に置かれました。これは、同年3月に破綻した「シリコンバレーバンク」、「シグネチャーバンク」に次ぐ3行目の破綻となり、資産規模で見るとリーマン・ショック以降最大のものとなりました。

 相次ぐアメリカの銀行破綻は決して対岸の火事ではありません。現在、日本の銀行は安定的な経営を行っているように見えますが、あくまで「預金」は銀行への貸出であると認識しておくことが大切です。

銀行が倒産したら、預金者のおカネはどうなるのか?

 一般的に「銀行破綻」は、融資先企業の経営が悪化し、銀行に貸出金が返済されないことによる焦げ付き(損金)が原因となって発生します。該当エリアの焦げ付き比率が高まれば、その地域の景気が落ち込んでいることを意味しています。このような状態が深刻化し、銀行が預金者の返金要求に対応できないなどの事態に陥れば、それこそ銀行の「信用問題」となります。

 また、実際には預金者への払い出しに影響がなくても、たとえば銀行に対する疑惑・不信感が高まれば、預金者が預金の払い戻しを求めて銀行支店(窓口)に殺到する「取付騒ぎ」(Bank Run)へと発展する危険性もあります。

 現に1973年には、日本でも「豊川信用金庫事件」と呼ばれる取付騒ぎが起こっています。当時の女子高生が電車内で交わしていた冗談から、「豊川信用金庫は危ない」という誤った内容の情報が拡散され、パニック状態に陥った人々が豊川信用金庫に殺到し、取付騒ぎを引き起こしたという事件です。現在でも、非常時にデマ情報が拡散されるなどの事例が多数見られますが、情報の扱いには十分に注意が必要です。

 ちなみに、実際に銀行が倒産した場合、私たちの大切な「預金」はどうなるのでしょうか? 預金保護(預金保険制度)については、各国で制度が異なりますが、日本では以下のように3つに分類して処理されています*1

①決済用預金
 当座預金や利息の付かない普通預金などは全額保護されます。

②一般預金
 利息の付く普通預金や定期預金などは、金融機関ごとに1人あたり「元本1000万円まで」と「利息」が保護されます。

③対象外預金
 外貨預金・金融債などは保護の対象外です。預金保険制度の対象外預金については、破綻した金融機関の財産(資産)状況に応じて支払われることとなるため、当然ですが一部カットされる場合があります。

*1 米銀の預金保護システムでは、1口座あたり25万ドルまでとなっています。


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