闇金をテーマにした漫画に『闇金ウシジマくん』*2がありますが、この作品に登場する主人公・丑嶋馨も「利息制限法」の対象です。丑嶋が経営する金融会社「カウカウファイナンス」が適用する金利は「十五」と呼ばれ、「10日で5割」というまさに法外なものでした。それでも、通常の消費者金融(サラ金)では借り入れができない人による利用が後を絶ちません。しかし、もちろん返済ができるわけはなく、違法で暴力的な取り立てが始まります。
ちなみに、闇金で高利のおカネを借り入れるということは、個人破産・企業倒産の第一歩と言われています。というのも、たとえば『闇金ウシジマくん』のように10日で5割という金利を、通常の経済行為で支払うことは困難だからです。個人はもちろん企業でも、利益率はそれほど高くはありません。闇金での借り入れは、まさに「終わりの始まり」と言えるでしょう。
*2 著者・真鍋昌平、『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)にて連載。暴利の金貸し業を通じて、社会の闇を描いた作品。2010年にはTVドラマにもなり、その後4本にわたって映画化されました。
「自己破産」と「ブラックリスト」
闇金に限らず、借り入れた借金を返済できなかった場合には「自己破産」(Personal Bankruptcy)という制度を利用することができます。裁判所に支払不能であることを認めてもらい、できる限りの財産を処分してもなお上回る借金を帳消し(免責)にする制度です。
原則として、ギャンブルや風俗などの享楽が原因で借金が膨らんだ場合、自己破産の許可はされません(免責不許可事由)。また、自己破産を許可された場合であっても、税金や国民健康保険料などの債務は帳消しされません(非免責債権)。
なお、自己破産すると、資産を差し押さえられ生活の一部が制限されるなどのデメリットがあります。まず持ち家や車などの個人資産が回収され、住所・氏名が「官報」に掲載されます。さらにブラックリストに載るので、クレジットカードの利用や新規の作成ができなくなります。他にも、手続き中は一部の職業が制限されたり、引越しや旅行にも制限がかかります。郵便物は破産管財人に管理されます。
また、自己破産をはじめとして、口座振替不能など金融関係で事故を起こしても、約5年程度はブラックリストに名前が残ります。ブラックリストに載ると、その期間は個人の信用情報に“傷”が付いた状態となり、自己破産ほどではないものの、借り入れやクレジットカード等の金融(信用)取引ができなくなります。
個人の信用情報を記録・管理している「信用情報機関」(Credit Bureau)は、日本に3つ存在しています。それぞれ銀行や消費者金融会社、カード会社、信販会社などが加盟しており、加盟社同士は情報を共有しています。