頼総統は演説の中で、「軍の性格は、国家の発展とともに変化し続けている。すなわち、党軍から国軍へ、革命軍から専門部隊へ、指導者のための戦いから国家と国民のための戦いへの変化だ」と述べた。
ある専門家は「今日でも士官候補生は『黄埔の精神』について教わるが、それはレーニン党軍の精神だ」、「彼らが学ぶべきは、国家、自由、民主主義のために戦うことである」と指摘する。
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中台を「両岸関係」から「両国関係」に
頼清徳政権は本年5月末に発足以来、内外に課題は山積しつつも、蔡英文政権下には見られなかった政策を打ち出しつつある。
FTは、頼が先日、台湾軍設立100周年(黄埔軍官学校設立100周年)記念の際に、台湾高雄において閲兵したことを論評し、頼清徳総統が直面する台湾軍のアイデンティティをいかに見ているか、について記述している。台湾軍の軍事訓練についての本記事の描写には興味深いものがある。
頼清徳がこの時強調したのは、「自分たちは自由と民主主義を守り、台湾の主権を保護するために尽力する」、「主権があってこそ国家があり、台湾があってこそ中華民国がある」とする点である。それは、台湾軍は装備の近代化だけではなく、国家、自由、民主主義のために戦うというアイデンティティを確保する必要がある、とするものである。
蔡英文政権下では、中台関係について、出来るだけ中国を刺激、挑発することを避けるため、中台関係に言及する際には「両岸関係」という曖昧な言葉を使用し、「両国関係」という言葉を使用することを避けた。頼清徳も台湾海峡の「現状維持」という言葉は踏襲しつつ、自由と尊厳ある対話を主張し、同時に、時に「両国関係」という言葉を使用して、自由、民主、台湾の主権を明確に打ち出している。
中国の中央放送(CCTV)は、最近の論評の中で、台湾の頼清徳は大陸を呼ぶときは「中国」の二文字を使用し、台湾を表すときには「国家」を使ったとして、「両岸関係」を「両国関係」に置き換えたとして、強烈に非難した。
中国は6月21日、「台湾独立派」による国家分裂行為を処罰する司法手続きを発表し、最高刑は死刑とした。中国はこのように独立志向と見なす頼清徳政権への恫喝を強めつつある。
このことについて、コメントを求められた頼清徳は「民主主義は犯罪の元凶ではない。独裁政治こそが犯罪だ」と応答している。そして、「中国が『中華民国』(台湾の正式名称)の存在を認め、台湾で民主的に選出された合法的な政府と交流、対話を行うこと」こそが、台湾海峡の平和と安全を守る方策であると応答している。