2024年11月21日(木)

知っているようで知らない、知っておくべき電力問題

2024年7月16日

電力の大きさはボルト×電流で求められる

 電圧はボルトと呼ばれ、電流中の電子を動かす力になる。ボルトは1800年に化学電池を発明したイタリアのアレッサンドロ・ボルタに由来している。電圧が大きいほど電流が小さくなり、高電圧で電気を送れば送電ロスが少なくなる。その理由は次の計算によっている。まず、発電機が生み出す電力の大きさ、仕事量ワット(W)はボルト(V)と電流(I)で表すと W=V×I と表示される。ワットは、蒸気機関で知られるジェームズ・ワットに由来している。

 ジュールの法則では、熱量をQとし抵抗をRとし、時間をtとすると、Q=I2 ×R×tとなる。送電線の長さで電気抵抗は決まっているので、電流が小さいほど熱量、つまり失われる電気、送電ロスは小さくなる。発電機が生み出す電力の大きさは決まっているので、電流を小さくするにはVを大きくする、つまり高電圧にすればよい。

 家電製品にもワット(W)の表示がある。製品により異なるが、電子レンジには1500Wと表示されていることが多い。1ワットの電気を1時間使用すると1ワット時(Wh)になる。1500Wの電子レンジを10分使用すると、1500W×10分/60分=250Whだ。1000Wの掃除機を2時間使うと、1000W×2h=2000Wh=2キロワット時(kWh)。2kWhの電力を消費したことになる。

 電気料金は地域により、電力会社により異なるが、たとえば、1kWh当たり32円であれば、電子レンジの電気料金は8円、掃除機の使用による電気料金は64円だ。100Wの電球を20時間使用すれば、100W×20h=2kWhでやはり64円になる。電気料金は使う家電製品の仕事量(W)と使用時間で変わるということだ。

 家庭で電力の契約を行う際には、大きく分けると電流の大きさ・アンペア(A)を選択する契約(たとえば東京電力)と最低料金が導入されている契約(たとえば関西電力)がある。アンペアはアンペールの法則を発見したフランス人のアンドレ=マリ・アンペールに由来しているが、アンペアを選択する契約の場合高いアンペアだと電気料金も多少高くなる。最低料金制であれば、アンペアを選択する必要はない。定額の最低料金が一定の使用量(kWh)まで決まっており、使用量が増えれば支払い額も増える方式だ。アンペアを選択する際には日本の一般家庭では30Aあるいは40Aを選択するのが標準だろう。先に述べたようにワット(W)は電流(I)に電圧(V)を掛けたものだった。家庭に来ている電気の電圧は100Vなので、アンペアを選択すると、使用する家電製品のWの上限を選択することになる。

 たとえば30Aを選択すると同時に最大使用できる家電製品の上限は、30A×100V=3000W = 3kWだ。電子レンジ1500W、掃除機1000W、エアコン700W、テレビ300Wを同時に使用すれば、3500W=3.5kWになり、ブレーカーが落ち停電する。使用している製品によりWは異なるが、高いのはアイロン、IHヒータ、炊飯器、ドライヤー、ケトルなどだ。使用する家電製品によっては、契約アンペアも大きくする必要がある。

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