原子力発電も登場したが、原子力の熱で水蒸気を作りタービンを回すので、水蒸気を作る燃料が火力発電と異なるだけだ。燃料を利用する発電の方式は石炭を利用していたエジソンの時代から変わっていない。地熱による発電も火山の近くの地下にある蒸気を利用し、タービンを回す。
水力発電の方式もエジソンの時代から変わらない。水の位置エネルギーを利用し、水車を回し発電する(図表3)。風力発電は水でなく風の力で発電機を回す。エジソンの時代になかった発電方式は太陽光発電だ。光のエネルギーを電気に変え発電する(図表4)。
需要量と供給量は一致させなければならない
火力あるいは原子力発電設備は燃料がある限りは発電できるし、出力の調整も可能だ(ただし、原子力発電設備は日本では発電量を常に一定に保つ定格で運転されている)。電気は需要がある時に必ず需要量と同じ量を発電しなければ(同時同量と呼ばれる)周波数が乱れ、最悪の場合には停電する。需要と供給量を一致させるため、大手電力が保有する送配電会社が24時間供給量を調整しているが、中には需要に合わせ調整ができない発電設備がある。
たとえば、太陽光発電設備は日が照ってなければ発電できない。風力発電設備は風が吹いていなければ発電できない。電力の需要は一年を通し、一日を通し変動する。夏と冬には冷暖房需要で需要量が増える。春と秋には需要量は減少する。夏の日には午後冷房需要がピークになる。一方、冬の一日では需要のピークは照明と暖房のため朝と夕方になる。
太陽光、風力発電は需要に合わせて発電できない設備なので、火力発電設備が供給の調整を担うことになるが、春あるいは秋の連休により工場などが停止し電力需要量が少ない時に、好天だと太陽光発電設備からの発電量が需要量を上回ることがある。供給量が需要量を上回っても停電する。
現在、太陽光発電設備の導入量が増えたので、日本のほとんどの地区でこの現象が発生している。供給過剰を回避するため太陽光発電の事業者に対し出力を制御する措置が取られている。太陽光、風力の需要に合わせ発電できない問題を回避するには大型蓄電池を導入し、需要がない時の余った供給量を充電にあて、供給量が少ない時に蓄電池を利用することだ。すでに米カリフォルニア州、豪南オーストラリア州などでは導入が進んでいるが、蓄電池の価格がまだ高いので大規模な実用化はもっと先になる。