2024年8月8日(木)

冷泉彰彦の「ニッポンよ、大志を抱け」

2024年8月8日

 一方で、同社の日本法人(昔とは異なり現在は合弁を解消して本社の100%出資となっている)の業績は堅調だ。長引くデフレ経済から脱却すべく、商品の付加価値を高め価格もアップさせたが、消費者の支持を得ている。

 今回の日銀の利上げは、このような脱デフレの動きを4月の賃上げで後押しし、その効果を確認したうえで行われている。今回為替は円高に振れ市場は乱高下したが、これによるマクドナルド日本法人の高付加価値路線への影響は軽微であろう。

日本はデフレ思考に戻ってはいけない

 日本と米国における物価問題の違いを、それぞれの中央銀行の動きと、それぞれのマクドナルドの位置づけを例に取ってお話したが、問題はこれからである。

 特に日本の場合は、今回の円高により資源や原材料の価格が落ち着いたら、その効果を例えば中小企業等の賃上げや、経営基盤の充実に向かわせることは重要だ。一方で、多国籍企業の業績は多少圧縮されるが、4月の賃上げも今年度の経営計画もドル円140円程度であれば吸収は可能なはずである。

 日本の場合は、円高に驚いて、デフレ思考に舞い戻るのは論外である。そうではなく、過渡の円安の弊害から脱しつつ、継続してデフレ克服を進めることは何としても必要だし、また可能であると思う。目先の株価に踊らされることなく、そのような観点を大切に変動と向かい合いたい。

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