2024年8月11日(日)

BBC News

2024年8月11日

パリ・オリンピック(五輪)は競技15日目の10日、陸上女子やり投げの北口榛花と、レスリング女子62キロ級の元木咲良がともに金メダルを獲得した。陸上のマラソン以外で日本女子選手が金メダルを取ったのは初めて。飛び込み男子の高飛び込みの玉井陸斗、近代五種男子の佐藤大宗、レスリング男子フリースタイル74キロ級の高谷大地、卓球女子団体の日本代表も、それぞれ銀メダルを勝ち取った。飛び込みと近代五種での日本勢のメダル獲得は初。これで日本は、金メダルの数とメダル総数で、海外開催の五輪の最多記録を更新した。

陸上女子フィールド種目で日本初の金

陸上女子やり投げの北口は、7日の予選で62.58メートルを投げ、決勝に進んだ。

12人で争った決勝では、北口が力としなやかさを併せた投てき動作から、1回目で今シーズン自己ベストの65.80メートルを記録。トップに立った。

4回目からは、ここまでの上位8人による勝負に。各選手は6回目まで投げたが、誰も北口の1回目を上回ることはできず、北口の金メダルが決まった。銀メダルは南アフリカのヨ=アン・ファン・ダイク(63.93メートル)、銅メダルはチェコのニコラ・オグロドニコヴァ(63.68メートル)が手にした。

北口は競技後のインタビューで、「うれしいんですけど、うれしいだけじゃ足りないくらい、言葉にできないくらいの気持ちで、いまだにまだ実感がわかないです」と話した。

また、「いつもは6投目までのんびりしているんですけど、今日はすごい選手ばかりなので、プレッシャーをかけられるように1投目から行きたいと思っていた」と振り返った。

レスリングは5日連続の金メダル

レスリング女子62キロ級の元木は、前日の1回戦をフォール、2回戦を10ポイント差以上をつけるテクニカルスペリオリティー、準決勝は劣勢から再びフォールで勝利した。

この日の決勝は、ウクライナのイリナ・コリアデンコと対戦。元木は序盤で消極的と指導を受け、1ポイントを先取された。しかし、タックルから攻めてポイントを奪い、4-1と逆転して前半を終えた。

後半も元木は優勢のまま試合を進め、8ポイントを重ねて12-1に。テクニカルスペリオリティーで勝利を決めた。

金メダルを獲得した元木は試合後、「昨日は自分に負けそうになってしまって、それでも神様が助けてくれたのかなって思って、このチャンスは逃したら二度と来ないと思った。今まで頑張ってきたので、絶対にここで最後までやり切ると決めてマットに臨みました」と、うれし泣きしながら話した。

銅メダルはキルギスのアイスルー・ティニべコワと、ノルウェーのグレイス・ジャコブ・ブレンが勝ち取った。

レスリング男子フリースタイル74キロ級の高谷は、前日の1回戦2回戦準決勝をいずれもポイントで大きく差をつけて勝ち進んだ。

この日の決勝の相手は、ウズベキスタンのラザンベク・サラムベコヴィッチ・ジャマロフ。前半、相手に攻め込まれた高谷は0-4とリードされると、フォールを取られて敗れ、銀メダルが決まった。

高谷は試合後のインタビューで、「決勝でフォール負けするのも僕らしいかなと思いました」、「こんないい経験が人生の中でできたことが本当に幸せでした」と話した。

銅メダルはアメリカのカイル・ダグラス・デイクと、アルバニアのチェルメン・ヴァリエフが獲得した。

飛び込みで日本勢初のメダル

飛び込み男子高飛び込みは、高さ10メートルの台から6回演技して合計点を競う。玉井はこの日、準決勝を3位で通過し、12人で争う決勝に進んだ。

決勝で玉井は、2回目の演技で高得点を挙げ、全選手が4回目を終えた時点で2位につけた。しかし、5回目で入水が大きく乱れ、3位に後退した。

最後の6回目、玉井はひねりと回転、入水をすべて見事に決める。全選手の最高得点99.00をマーク。これで合計を507.65とし、銀メダルを獲得した。

玉井は表彰式後のインタビューで、「東京(五輪)終わってから3年間、厳しい練習も結構多かったんですけど、あきらめずにやってきて、みんなの夢である日本人初のメダルを獲得できたのが、日本の飛び込み界にとってすごい大きいことなのかなと思います」と話した。

金メダルは中国の曹縁(547.50)が勝ち取り、東京五輪からの連覇を達成した。銅メダルはイギリスのノア・ウィリアムズ(497.35)が手にした。

近代五種でも日本人選手が初めてメダル

近代五種は、馬術、フェンシング、水泳、そしてランニングと射撃を組み合わせたレーザーランの総合ポイントで競う。男子の佐藤は、前日の準決勝を終えた時点で首位に立った。

18人で争ったこの日の決勝では、佐藤は馬術とフェンシングを終えて総合2位につけた。

続く水泳では同4位に後退したが、最後のレーザーランで力走と正確な射撃技術を見せてフィニッシュ。総合ポイントを1542とし、順位を二つ上げて銀メダルを獲得した。

金メダルはエジプトのアハメド・エルゲンディ(1555ポイント)、銅メダルはイタリアのジョルジョ・マラン(1536ポイント)が手にした。

卓球女子団体は2大会連続の決勝

卓球女子団体の日本は、1回戦でポーランド、準々決勝でタイ、8日の準決勝ではドイツをそれぞれ下して、決勝へと進んだ。

金メダルをかけたこの日の戦いの相手は「卓球王国」の中国。東京五輪の決勝と同じ顔合わせになった。

第1試合のダブルスでは、早田ひな、張本美和ペアが陳夢、王曼昱ペアを相手に、ゲームカウント2-1と追い詰めたが、フルセットの末に競り負けた。

第2試合は平野美宇が、今大会のシングルスで銀メダルを獲得した孫穎莎と対戦。平野はゲームポイントを握りながらこれを生かせず、ゲームカウント0-3で敗れた。

第3試合では、張本が世界3位の王と戦い、第1ゲームをデュースの末に奪った。第2ゲームもデュースにもつれたが、王にこれを取られる。続く2ゲームも王に強いショットを打ち込まれて落とし、ゲームカウント1-3で敗れた。

日本はこれで0勝3敗となって負け、中国の金メダル、日本の銀メダルが決まった。中国は2008年北京五輪から5連覇となった。銅メダルは韓国がドイツを破って勝ち取った。

表彰式後のインタビューで、張本は「負けた試合もすべて自分のこれからの経験になりましたし、全試合楽しむことができたので、次につなげていきたいです」と話した。

平野は「決勝では負けてしまったんですけど、まずはメダルを獲得できたことはよかったなと思いますし、また強くなって、いつか中国選手に勝てるように、また頑張っていきたいなと思いました」と現在の気持ちを表現。

早田は「今日の試合は、ある程度自分がもっているものをすべて出し切れた試合だったかなと思います」、「金メダルを取るにはまだいろんなものが足りないなと感じたので、また新たに自分を見つめ直して、次のオリンピックで金メダルを取れるようにがんばりたいです」と今後を見据えた。

日本勢のメダル記録を更新

この日で、日本勢が今大会獲得した金メダルは計18個となった

これまでは2004年アテネ五輪の16個が海外で開かれた五輪の最多で、それを上回る新記録となった。メダル総数も43個となり、2016年リオデジャネイロ五輪の41個を抜いて、海外開催の五輪の最多記録を更新した。

前回の東京五輪では、日本は金メダル27個、メダル総数は58個だった。

(英語関連記事 Paris 2024 Olympics medal results

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c23lvpvl4x8o


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