チャイナ・ウォッチャーの視点

2014年1月27日

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 おそらく米国のこの態度の影響か、米国の同盟国として日本以上に米国傾倒の韓国は、この日の米韓外相会談の前から、安倍首相の靖国参拝に対する批判のトーンをすでに下げ始めていた。韓国側のこの変化をいち早く察知したのは実は中国のメディアである。

 1月6日、共産党機関紙の人民日報と同じ系列の環球時報は、「朴槿恵大統領に異変?!日本批判をトーンダウン」とする記事を掲載して韓国政府の「豹変」を嘆いて暗に批判したが、もはや後の祭り。中国が「対日共闘」の重要国として大いに期待していた韓国はついに、中国との「共同戦線」から離脱した。

 中国の対日作戦の頓挫はもちろんそれだけではない。実は、去年の12月30日に中国の王外相が展開した例の「電話協議作戦」において、中国にとって一番の成果となったのはロシア外相からの反応であった。中国側の発表によると、王毅外相の行った靖国参拝批判に対し、ロシアのラブロフ外相は「ロシアは中国の立場と完全に一致する」と述べ、首相の参拝に不満の意を表明。「日本が誤った歴史観を正し、地域の緊張を激化させる行動をとらないよう促す」と応じたという。

 中国外相が電話協議した各国の外相の中で、それほど明確な表現をもって中国の日本批判に同調したのはラブロフ外相をおいて他にはいない。唯一、中国との「共闘」を明確に表明したのもロシアである。中国の「日本包囲作戦」が上げた唯一の具体的な成果でもある。

日露関係の進展、
米国からもニュースが

 しかし今年1月半ばになると、この唯一の成果は早くも水の泡と化した。

 まずは1月17日、日本政府は安倍首相のロシア訪問を発表し、ロシアが主催国のソチ五輪閉幕式への安倍首相の参加も調整することとなった。そしてロシアのラブロフ外相は1月21日にモスクワで記者会見し、プーチン大統領が安倍晋三首相の招待を受諾し、日本を訪問すると語った。

 つまり日露両国は今後引き続き、自らの国益に沿っての関係強化を進めることとなっていくわけだが、中国の提起した「靖国参拝問題」は、日露両国の関係強化の妨げになるようなことはほとんどない。例の電話協議で、ロシアの外相は一応中国の面子を立ててそれに同調するふりをしていながらも、実際の外交行動になると、ロシアはロシアの国益に沿って動くだけである。中国が何を言おうと、日露関係は予定通りに進むこととなる。冷徹な国際政治の力学の前で、中国の虫のよすぎる「日本包囲作戦」の企みは何の効果もなかった。

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