2024年10月28日(月)

未来を拓く貧困対策

2024年10月28日

岐阜新聞の特集「ホームレスは、どこへ行った―岐阜の現場から―」

 岐阜新聞では、2024年2月から特集「ホームレスは、どこへ行った―岐阜の現場から―」を連載している。1章あたり6回の連載記事から構成され、現在3章まで掲載されている(岐阜新聞、特集「ホームレスは、どこへ行った―岐阜の現場から―」)。

 貧困にまつわる報道が特集されるのは、全国紙、地方紙ともにそれほど珍しいことではない。子どもの貧困や失業、外国人など、貧困問題のテーマは多岐にわたるからである。しかし、ホームレスを基軸に18回もの連載を展開するのは異例である。

 もう1つ注目すべき点は、連載を通じて「岐阜市における生活保護行政の変化」を報じている点である。これは、筆者の知る限り先例がない。

 第1の変化は、24年3月14日の報道である。市議会で、市が相談者の申請権利を侵害する「水際作戦」をしている疑いがあるとの一般質問がなされた。これに対して、福祉部長が「県の監査の指摘事項について重く受け止めている」と答え、適切な窓口対応のため職員に研修や指導を行ったと明らかにした。

 第2の変化は、8月24日の報道である。岐阜市内の「道の駅」で住まいがなく車上生活を続けている人たちに対して、岐阜市が食料や水などの物資の提供や、就労支援窓口の紹介を通じて状況の把握に乗り出したことを報じている。

 第3の変化は、8月29日の報道である。「いただいた申請は、必ず受け付けないといけないことになっているんです」。6月に窓口を訪れた女性は、窓口の相談員からそう告げられた。居住支援法人の担当者や弁護士らは「市役所の対応が変わった」と口をそろえる、と報じている。

 なぜ、岐阜市の生活保護の運用が変わったのか。そして、なぜ岐阜新聞ではそれを継続して追うことができたのか(あるいは、変わりつつあるのか)。

 連載の中心となった岐阜新聞記者、山田俊介さん(37歳)氏のインタビューを通じて、その実際を明らかにしていこう。


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