2024年11月15日(金)

デジタル時代の経営・安全保障学

2024年11月15日

抜群のプライバシー保護機能をもったSignal

 いずれのメッセージングサービスもエンドツーエンドの暗号化が基本である。エンドツーエンドの暗号化(E2EE: End to End Encryption)とは、メッセージや通話内容が、携帯電話などのデバイスを離れた瞬間から相手のデバイスに届く瞬間までの間が暗号化され、通信の秘密が保護される仕組みをいう。

 通常の暗号化とは本質的に異なるレベルのプライバシーとセキュリティを提供する暗号化のゴールドスタンダード(評価の精度が高いとして広く容認)と呼ばれる手法である。

 メッセージの内容を知ることができるのは、送信者と受信者のみであり、サービスプロバイダはもちろんのこと、メッセージングサービスを提供しているプラットフォーマーでさえもその内容を知ることは不可能である。

 Whatsapp、Telegram、Signalのセキュリティ機能をCNNのニュースサイトNews18が比較している。WhatsappやTelegramのソフトの一部は、オープンソースとして公開されているが、非公開の部分も多い。

【出所】News18を基にWedge作成 写真を拡大

 また、いずれのソフトもエンドツーエンドの暗号化を使用することができるが、初期設定のまま(デフォルト)でE2EEが使用できるのはFacebook Messenger、Whatsapp、Signalで、Telegramはシークレットチャットを選んだ場合にのみE2EEが適用される。このため透明性や利便性という意味からも、犯罪者はTelegramよりもSignalを好むようになってきているようだ。

 「データの自動的な消滅」とあるのは、メッセージが設定した時間を経過すると自動的に消去される機能である。この機能があるため捜査当局では、スマホを押収した際にメッセージが消えないうちにスクリーンショットを撮るということが行われている。

 ちなみにTelegramはシークレットチャットのスクリーンショットを撮ろうとすると警告が表示される仕組みになっているが、Signalではスクリーンショットそのものを禁止する仕組みも備わっている。


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