2024年11月27日(水)

Wedge REPORT

2014年2月20日

多様なコミュニティが新たな価値を創造する場所

 ダボス会議は、ビジネスの成功者たちが再会し互いの功績を讃え合うためだけの場所ではありません。WEFは、ビジネス、政治、市民社会、教育、といった多様なコミュニティのリーダーを一同に集めることで、その垣根を越えた、世界に新たな価値を生み出すためのネットワークを具体的に構築することに成功しています。私がよく知り、実際に関わってきた、2つの例を挙げましょう。

 次の世代を担う若いリーダーが互いに刺激し合い学び合うことが必要であると考えたWEFは、「ヤング・グローバル・リーダーズ」というコミュニティを2004年に発足させました。毎年約200名選ばれるのは、各々の得意な分野で並外れた成果を得た40歳以下の男女。彼らは選出後5年間、国籍の違い、宗教の違い、本業のバックグラウンドの違いにかかわらず、国際的な問題とその解決策について一緒に考え取り組みます。たとえば、先進国の肥満や生活習慣病と開発途上国の飢餓を同時に解決させる「TABLE FOR TWO」や、東日本大震災の被災児童を支援する「BEYOND Tomorrow」といったプロジェクトも、この集まりの中から生まれました。

 WEFはもうひとつ、過去3年の間に20代の若者3,000人を集め「グローバル・シェイパーズ」と呼ばれるコミュニティを発足させました。彼らは世界300の地域で、各々の得意な発想と若さゆえの行動力を活かしながら、各地の諸問題を解決するために数々のローカルプロジェクトを立ち上げています。若い世代のリーダーがWEFの議論に参加して世界を変える行動を起こしている状況は、道理に適い自然です。なぜなら、世界約70億の人口の半分は、27歳以下の若者だからです。

分極化する世界における
中立なコミュニケーションの場

 ダボス会議はWEF創設者兼会長であるクラウス・シュワブ氏のビジョンを反映しており、すべての参加者が「face-to-face」、1対1で面と向かって「対話」できる場を提供しています。対立軸にあると見られた国と国、企業と企業の問題も、ダボスでの会談が問題の解決、現状打破の契機となった事例は少なくありません。これは、今回のダボス会議にも見られた特徴です。

 2014年のダボス会議では、イランのハサン・ロウハニー大統領がイランの国際的な立場について、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相がイスラエルという国が何を考え行動しているのかについて、それぞれ話してくれました。果たして、ダボス以外に、この二者が同じ期間中に同じ場所に集まり、各々の考えを述べるような状況を想像できるでしょうか。しかもこれは、250もあるセッションのわずか2つに過ぎません。


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