2024年4月20日(土)

Wedge REPORT

2014年2月20日

 ダボス会議や世界経済フォーラムに関連・類似するような集まりは、世界に平和と進展をもたらす原動力となっているのです。

 もう少し具体的に、近年、ダボスで熱く議論されている内容を、ご紹介しましょう。

 ダボスで取り上げられている重要な問題とは、貧富の不平等問題、温暖化などの気候変動問題、持久性のある経済発展の模索、世界の人口の大半を占める若者世代の雇用、シリアや中東の平和などです。2014年は先進国の経済状況を好転させる事例としてアベノミクスが大きく注目されました。日本の経済政策は、世界的に見ても先進的で、非常に応援されています。

 会議を通してダボスの参加者たちは時には当事者として、時には発言者として、時には傍観者として、議論を重ね、情報を共有し、個々のマインドセットを変革し、新しい友人を作ります。あるいは、敵対的であった関係も改められ、問題解決に繋がるような事例が少なくありません。ある問題の当事者は、他の発言者や傍観者がいない場合、その問題のすべての側面を把握していると過信しがちです。しかし、世界中のリーダーが集まるダボス会議の場に参加した人は多くの未知と出会い、本質的な問題解決に不可欠な新たな示唆や視点と謙虚さとをもって会場を去ることになります。世界の平和や経済を牽引してきたリーダーたちの前で、「自分が一番偉くて賢い」という自負は、失笑の対象でしかないことを、肌でひしひしと感じるからです。

 ダボスで話し合われた成果は、机上の空論では終わらず各自が決意をもって具体的な行動に移すことになります。

 では、どのような行動なのでしょうか。たとえばそれは、世界の食料安全保障であったり、持続可能な農業技術の普及・促進であったり、大規模な私的財産の投資による水、食料、健康、エネルギーなど社会問題の解決(インパクト投資)であったりします。あるいは、銀行・銀行サービスの導入です。日本では貯金、送金、給料の支払いのような金融サービスはわざわざ言及するまでもなく一般的です。しかし、IT大国として知られるインドでさえ、ごく一部の中央都市でしかこうした金融サービスを受けることはできません。または、シリア危機や大災害となったハイチ地震、そしてもちろん、東日本大震災も含めて、世界的で共通して発生する大規模な危機に対しても、ダボス会議はその解決策を議論し、具体的な行動の数々を起こしてきた実績があります。

「ポスト・ダボス・ブルー」

 私を含め、ダボスで知り合った多くの友人が、スイスを離れた直後に「ポスト・ダボス・ブルー」に陥ります。それはなぜか。世界を変える意志に漲った様々なセッションやカンファレンスで、自身が見聞きしてきたよりもはるかに多くの声に触れたことで、自分がいかにちっぽけな存在であるのかを思い知らされるからです。


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