2025年2月7日(金)

経済の常識 VS 政策の非常識

2025年1月22日

 広島・安芸高田前市長で、2024年7月の東京都知事選挙で小池百合子都知事に次ぐ166万票を獲得した石丸伸二氏が25年1月15日、新党「再生の道」を旗揚げした。25年夏の都議選で全42選挙区への公募候補擁立を目指すという。

石丸伸二氏は新党を通じて政治をどう変えるのか(SANKEI)

 通常、政党というのは、同志が結集して政策を訴え、国民に協力と投票を呼び掛けるものだ。ところが、政策は、2期8年までの多選制限で、それ以外に何を主張しようが自由、他党との掛け持ちも自由で、共産党の方もOKという。つまり、党として訴える政策はないということだ。

 さらに、石丸氏は選挙に出馬せず、これから候補者を公募し、今春までに候補者を決定するという。公募のプロセスは書類審査、テスト、面接の3つで、面接の様子はYouTubeで公開。決定した候補者には、「再生の道」が供託金の負担や、選挙のサポートなどを約束するという。選挙のサポートとはおそらくSNSの使い方などを指導してくれるということなのだろう。

 公募候補者としては即戦力になれる人材を求め、知事や副知事、市長や副市長などの経験者を優先的に候補にするという。

人を変えただけで日本が変わるのか

 「再生の道」は、政策によって「再生の道」を示すのではなく、人を変えること自体が再生の道になるという。通常は、政策を変えるために人を変えるものである。

 金融緩和を唱えていた故安倍晋三首相は、大胆な金融緩和政策への転換をもとめて日本銀行総裁や審議委員を変えた。これは人を変えることによって政策を変えるという典型例である。新しく総裁に就任した黒田東彦氏は、総裁に就任する前から金融緩和を唱えていたから、当然、金融政策は緩和方向に変わる。

 ところが、「再生の道」は、任期8年以上はやらないという以外の政策はないから、どうやって日本を再生するのかは全く分からない。


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