また、こうしたトランプの考えがどの分野で色濃く表れるかを注視していく必要があろう。今回のカナダ、パナマ、グリーンランドの問題は、近傍の土地であり、そこが持つ戦略的価値の支配を巡る問題である。
貿易はトランプが《力》を発揮するための有効なツールと目されている。一方、国際関係がカバーする範囲は極めて幅広い。トランプ的な発想がどの分野にまでどの程度及んでいくのか、そうした発想が及んでいかない分野はどこなのか、それをよく見極める必要がある。
日本が持つべき2つのプラン
日本としては、どうするか。日本にとっては、国際社会が《力》に依拠した世界となってしまうのは苦しい事態である。
日本自身も弱い国ではないが、強大な《力》を持つ複数の国家、軍事力の強化に血道を上げている分裂国家が周囲に位置している。だからこそ、日本は、「ルールに基づく国際秩序」を重視してきた。
ただ、トランプが《力》の信奉者であると言っても、《ルール》の全てが崩れ去るわけではない。米国も「持てる国」の側であり、《ルール》が崩壊することで失うものも大きい。米国にとって、《ルール》が維持される方が都合の良い分野も少なからずある。
従って、米国にとっての《ルール》の必要性を説きつつ、《ルール》ができる限り崩壊しないように支えていく。それがプランAであろう。
一方、それではすまない場合のプランBも考えておく必要があろう。それは、日本も従来の在り方を超えて《力》を高めるということにならざるを得ないだろう。