今月のお悩み「取引先とメールや電話だけでやりとりする後輩がいます。「足で稼ぐ」営業は時代遅れなのでしょうか。」
「こたつ記事」という言葉がある。取材者が現地に赴いて調査を行ったり対象者に直接取材したりして得る一次情報によらず、インターネットのウェブサイトやブログ、SNS、テレビ番組などの他媒体で知り得た二次情報のみで書かれる記事をいう。インターネットなどIT技術の発展、さらには生成AIの出現がその後ろ盾にある。
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(metamorworks/gettyimages)
こうした〝こたつ化現象〟は取材に限らず、いまや各分野で見られる。「取引先とメールや電話だけでやりとりをしている」という営業スタイルを心配するお悩みもその一つだろう。あなたの職場でも「こたつ営業」が広がっていないだろうか。
しかし、手ではなく「足で書く」のが取材の鉄則であるように、「足で稼ぐ」のが営業をはじめとするあらゆる仕事の基本である。なぜなら、二次情報には故意か過失かは別として偽りや錯誤が紛れ込むし、一次情報には実際に接しなければ得られない気づきがあるからだ。気づきからは、ときとして宝物が得られる。
新しい技術は道具として使いこなす分にはいい。しかし、それだけに頼ってはならない。現場・現物・現実を重視する「三現主義」からしか、価値あるものは生まれない。