2025年4月5日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年2月18日

 USAIDの解体については2月2日にDOGE(政府効率化省)のトップを務めるイーロン・マスクがUSAIDを「犯罪組織」等と非難し、トランプも「過激な狂人の集団」等と呼応し、USAIDを解体して国務省に統合する方針が示された。USAID幹部職員は既に休職扱いとされたが、3日には、トランプがUSAIDの閉鎖を承認したとマスクが発表し、USAIDのウェブサイトは停止し建物自体も立ち入りが制限され、ルビオ自身がUSAID長官代行を兼任することが公表された。

 米国は、23年には総額680億ドルの最大のODA 供与国であり、世界の人道支援の40%はUSAIDが供給したとされるが、これらの米国の支援が停止され、さらにどこまで落ち込むのかが懸念され、その資金で活動していた国際機関や国際NGO或いは現地NGOにも大きな打撃となろう。

損なわれる米国と世界の利益

 90日間の活動の停止と継続の見直しにより、多くのプロジェクトが中断し、特に、温暖化防止や環境保護分野、マイノリティの保護、ジェンダー平等や女性の地位や能力向上、民主化、家族計画などのプロジェクトは廃止される可能性は高く、他のプロジェクトも大幅な実施の遅れや縮小が懸念される。

 その結果、途上国の経済・社会的発展が滞り、社会不安や感染症や飢餓等人道上の危機やテロの危険等が拡大することが懸念される。すなわち米国のソフトパワーの衰退やこの分の中国の影響力拡大といったことに加えて、世界の安定と安全が様々な面で損なわれる恐れがある。

 援助の見直しの基準は、援助の効率性と米国外交政策との整合性ということになるが、ルビオは、かねて米国の海外支出は米国を「より強く」「より安全に」「より豊かに」する場合に限るべきだと主張している。しかし、米国のアメリカ・ファーストの考え方が援助と国益の関係をより直結するものと捉え、即物的、短期的であること、また、米国は既に相当に強く、安全で、豊かであり、かつ援助以外のツールもあることから、その基準が高く、トランプは減税のための財源の1つくらいとしてしか見ていないのではないかと懸念される。

 途上国支援の今日の基礎は、ケネディ大統領が国際社会の調和ある発展という理想を目指して国連開発の10年を提唱して軌道に乗ったものだけに誠に残念なことだ。

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