プーチンの危険な思い上がりは、欧州でほぼあからさまに暗殺、放火、そして恐らくは海底ケーブルの切断等を行っていることで既に明らかだ。
全ての戦争はいつか終わる。ウクライナ戦争も交渉か、あるいは次の戦争を予兆させるウクライナの崩壊で終わるだろう。Michael McFaul元駐露米大使はForeign Affairs誌で、交渉でプーチンの次の侵略までの一時休止以上の成果を得るには、ウクライナにNATOのみが提供できる信頼し得る抑止力」が必要だと述べた。
ウクライナのNATO加盟は達成不可能かもしれないが、ウクライナの戦力増強は達成不可能ではない。長期の膠着状態とプーチン政権に耐え難いコストをもたらす、十分な支援こそが米国と NATOが安物買いの銭失いを回避する方法だ。ウクライナは成功しても満足なものにはならないだろうが、それでも成功しなかった場合よりコストははるかに低い。
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ウクライナ戦争をどう終わらせるかが大事
ジョージ・ウィルは、ワシントン・ポスト紙の論説員のなかでも歴史に関する造詣が深く、彼の論説は傾聴に値する。彼がここで述べていることは正しい。
ルビオ国務長官は、ウクライナについては、「現実的」になる必要があると言ったが、それはウクライナが敗北した場合に、ロシアが中東欧に及ぼす脅威に対抗するためにどれだけのコストが掛かるかをも考慮したうえでの「現実的」判断であるべきであろう。
AEIの報告書と英国のMI6のムーア長官の発言が、この論説には引用されているが、ウクライナ戦争は、その再発を防ぐような公正な形で終わらせることは、極めて重要と思われる。
トランプ大統領は、ロシアは戦争に強いと考えているようであるが、これは必ずしもそうではない。20世紀初めに、日本はロシアに日露戦争で勝ったし、第1次世界大戦ではロシアは国内で革命的状況になり、ドイツとの戦いで敗れた。第2次世界大戦では、2600万人の戦死者(民間人を含む)を出しながらも最後にはドイツに勝った。ただアフガニスタンでナジブラ政権を存続させるための戦争では、戦死者が1万ちょっと出たところで、アフガニスタンから撤退した。