2025年4月5日(土)

トランプ2.0

2025年2月19日

 上記に列挙した大統領令のうち、「死刑実施」「自宅勤務禁止」「ケネディ暗殺秘密文書公開」などは、これまで一部メディア以外ではあまり大きく報道されていない。取材すべきテーマが多すぎるため、メディア側も十分に対応しきれていない現状を反映しているともいえる。

大手メディアもお手上げ状態

 「Flood Zone」戦略に基づく大統領令・行政命令はその後も、息つく暇もなく連日のように繰り出されている。

 このうち、特異な命令として、以下のようなものもある:

・近年、学校、大学などで女子中心のスポーツ・イベントへの男子参加が増え、負傷事故が多発している現状を踏まえ、今後は女子のスポーツ競技への男子参加を禁止する。これは、本来「男性」でありながら、「女性」として競技などに出場し、女子選手がケガや生命の危険にさらされる悲劇を解消することを目的とする(2月5日発令)
(筆者注:トランプ大統領は別の行政命令で、「バイセクシャル(両性)」の存在も含めた「LGBTQ」推進措置の否認を宣言している関係上、スポーツ競技における男性の体型をした「女性」の参加に対しても、禁止の決定を下さざるを得なくなった)

・米国企業による対外取引上の違法行為を監視・規制する「行き過ぎた継続中の・調査・捜査活動」の実態について、司法長官に対し「180日以内」に洗い直すよう指示する。この命令は、米国企業が対外諸国との競争上、不利な立場にさらされ、米国の国益を減じることに歯止めをかけるためにある(2月10日発令)
(筆者注:同命令は事実上、米国企業が国際競争に打ち勝つため、外国政府・機関関係者に対する買収などを禁じた「外国買収禁止法」を骨抜きにするものであり、かつてのロッキード事件のような違法行為を再び誘発する恐れもある)

・ドリンク用ストローについて、「環境保護」と称して、従来のプラスチック製に代わり半ば強制的に普及しつつある紙製ストローの政府調達にピリオドを打つ。政府省庁内での紙製ストロー使用を禁止する。紙製ストローは、人体に影響を与える化学剤が添加されているばかりか、製造コストも高く、また、プラスチック製にくらべ消費量もはるかに多く、かえって環境破壊に寄与しているためである(2月10日発令)
(筆者注:米メディアの一部報道によると、民主党が推進してきた「グリーン・ニューディール」のような環境保護運動にかねてから批判的だったトランプ氏が、個人的な持論をあえて「大統領令」として発令したという)

 このように、トランプ大統領の「行政命令」をタテにした横暴ぶりに対し、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストなどの有力紙、NBC、CBS、CNNなどの主要テレビ含め大手メディアは、五月雨的な批判を繰り返すだけで、ほとんどお手上げ状態だ。

 本来なら、憲法が規定する三権分立の「チェック・アンド・バランス」が機能し、行き過ぎた行為にブレーキがかかることが期待される。しかし、議会は今や、上下両院ともに共和党が多数を制しているだけでなく、大統領の意のままに動く“トランプ党”と揶揄される存在に成り下がってしまっており、チェック機能は有名無実となっている。


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