2025年12月6日(土)

Wedge OPINION

2025年4月15日

 チベットと新疆では、中国の政策は失敗しており、どちらの場合も、中国政府の対応は暴力とさらなる抑圧に訴えるという見識を欠くものだった。いずれも、揺るぎない自信を持った指導部の取る行動ではない。

今こそ求められる
日米両国の固い決意

 しかし、私はここではっきりと、日本および日米双方のアライアンス・マネジャーたち(同盟を保守発展させる役目の人々)に目を覚ますよう呼びかけるつもりである。中国が近隣諸国で力を誇示する一方、国内で注意を要する指導部の世代交代に向けた準備を進めている今、我々は重大な局面を迎えている。

 日米両国は同盟国として、再びしっかり地歩を築き、固い決意をもって安全保障環境の変化に対応していく必要がある。普天間合意は、正しい方向へ向かうために必要な1つのステップだが、初めの一歩に過ぎない。

 今世紀の戦略的な課題に立ち向かうべく、力を備えた同盟を築いていくうえで、難作業が始まるのはこれからだ。時代は次々、複雑さを増していく。その中にあって、善き力として圧倒的な存在となること。それこそが、日米双方の目標であり、それ以下であってはならない。

 私は、日米両国が最初にやるべきことは相互の信頼を再び築くことだと考えている。日米間の信頼は損なわれた。この事実は認めなければならない。

 次に日米両国は、米軍と自衛隊の義務と責任に関して、互いの役割と任務のアプローチを見直す必要がある。アジア太平洋地域で我々が直面するだろう課題は進化しており、我々はそれに合わせて進化しなければならない。どんな新しいアプローチを採用しようとしても、それが過去の状況に合わせるためのものならうまくいくわけがない。

 それゆえ、我々は中国が南シナ海海域で紛争の対象となっている領土で一方的に権利を行使するのを待っているべきではない。ロバート・ゲーツ国防長官は2010年のアジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)で「航海の自由を阻む行為や武力行使に反対するのが米国の政策である(中略)我々は米国企業であれ、いかなる国の企業であれ、合法的な経済活動を行っている者を脅す行為に反対する」と明言した。私はゲーツ長官の考えに同意し、まさにこの問題について、日米両政府がリーダーシップを取ることを強く求めるものである。

 我々が中国と調和の取れた関係を築くためには、米国と日本は互いに協力しなければならない。もし中国に対する我々の働きかけが失敗するようなら、それは中国が自国の利益について、そして自国が生き残るために取らねばならないと考える針路について、我々とは異なる見解を抱いているためだ。そうした失敗の責任は、もとより全面的に中国政府が負うべきものである。

 我々が一体となって取り組むべき課題は、米国政府と日本政府が確実に、共通のものの見方と共通のアプローチ、そして日米両国とアジア地域の永続的な平和と安全保障を確保する不動の決意を築き、それを維持するようにすることだ。

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