2022年7月6日(水)

オトナの教養 週末の一冊

2014年4月11日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

 先ほど、女性の社会進出を手伝うというお話がありましたが、女性の仕事と育児の両立をサポートしたいという動機で保育士や幼稚園教諭を目指す学生はあまりいないと思います。それよりも、子どもが好きだから、子どもと関わる仕事をしたいからという気持ちのほうが強い。そして、この子どもが好きだということが、子どもにとって一番良い環境を考えると、それは家庭だという立場、つまりお母さんが家庭で子どもをみるべきだという立場と重ねられてしまうので、そこに矛盾が生じることになる。

松木洋人さん

ーー保育士を目指す学生さんは、考え方が保守的なんですね。

松木:専業主婦志向が強くて、早く結婚したいという学生は多いと感じますね。そういう学生には、「いまは離婚率も高いし、いったん専業主婦になって仕事を辞めると、再就職しようとしても正規雇用はなかなか難しいからギャンブルみたいなもんだよ」とよく言うんです。でも、彼女たちには、「わたしはそのギャンブルに勝ちます」と言われてしまう(笑)。

ーー本書では、保育ママへもインタビューされています。保育ママも同様に保守的な考え方の方が多いのでしょうか?

松木:保育ママも、子どもが好きで、自分の子どもの子育てはひと段落ついたので、今度はよその家の子どものお世話をしたいという人が多いような印象があります。ただ、ケアの面では、小さい規模で、かつ家庭的な環境でやっている、という保育園との違いを押し出しています。保育園は、保育士ひとり当たりが面倒を見る子どもの数が多いので集団的になり、それは小さい子どもにとってあまり良くないけど、保育ママは、お母さんが子どもを預けている間に、お母さんの代わりになることができると。ここにも、子どもにとってほんとうは家庭が一番良い場所なんだという考え方があるように思います。

ーーすこし時代をさかのぼると、1986年に男女雇用機会均等法が施行されて、1990年には、当時の厚生省の前年の人口動態統計で合計特殊出生率が過去最低の1.57と判明し、それ以降少子化は大きな問題となりました。90年代以降、子どもを預ける側は、どう変わったでしょうか?

松木:90年代以前に比べれば、子どもを預けることへの抵抗感はなくなってきたのではないでしょうか。日本では少子化への対応策として、待機児童を減らすために、保育所の定員を増やしてきました。女性の育児と仕事の両立を支援しなければという考え方がだんだんと認められるようになったので、預ける側も預けやすくなったとは思います。

 しかしその一方で、子育ては家族の責任、とりわけお母さんの責任だという考え方も根強くあります。そこで子育てする側にもジレンマが生まれている状況ではないでしょうか。

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