2025年12月6日(土)

Wedge OPINION

2025年7月9日

 既成大政党の弱さは、有権者による投票先の分散をもたらしているようだ。穏健な中道路線を採る国民民主党などに人気が集まるのは予想されるとして、好調な参政党、初の議席獲得濃厚の日本保守党などの存在は、人々の心に潜む不安、不満に入り込み、受け皿になっているのかもしれない。

参政党の〝好調〟は何を物語っているのか(WEDGE)

 是非は措くとして、「日本人ファースト」という政策は単純でわかりやすい。「アメリカ・ファースト」を標榜するトランプ現象と同じ構図だ。

〝蔦重〟のひそみにならえ

 過去、抜きんでた構想力で国を導いた政治家は少なからずいた。

 1960年の安保改定の是非をめぐる混乱の直後に登場した池田勇人内閣が「所得倍増」計画、72年の田中角栄内閣が「日本列島改造論」をぶち上げた。〝眉唾〟と感じた国民は少なくなかったろうが、池田の所得倍増は、10年の期間中に見事達成、経済大国、繁栄への基礎を築いた。

 片や敗戦の混乱を克服した勃興期、片や少子高齢化に悩む衰退期―と置かれた環境は大きく異なる。しかし、良し悪しに関わらず変化の時代であるのは共通している。

 NHKの人気大河ドラマ「べらぼう」の26話(7月6日放送)に、主人公の蔦屋重三郎が、今の日本と同じコメの価格高騰のなかで、暗いムードを一掃しようと狂歌集出版を企てる場面がある。

 現在の日本がおかれた国内、国際的状況がどうであるか、いまさら繰り返す必要はあるまい。時あたかも、21世紀も四半世紀が経過している。

 大風呂敷の蔦重ではなくとも、遠大な構想力で国民を導くことは政治家、政治家を志す人々の役割だ。投票日まで議論の深化を望みたい。

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