台湾の選挙においては、米国はいずれの党派にも片寄ってはならない。最大野党民進党がまた政権の座に帰ってくることも一つの可能性である。民進党の政権維持能力、民進党と中国の関係については流動的な面があり、はっきりしない点はある。しかし、中台関係を規定する「92年コンセンサス」(「一つの中国」につき中台の各自解釈に委ねる)に必ずしもこだわる必要はなく、北京と台北が合意できる何らかの他の方式でもかまわない、と述べています。
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公聴会は、台湾関係法35周年を記念して行われたものですが、こうした催しが行われること自体、米議会が台湾政策に果たす役割の大きさ、台湾支持の姿勢をよく表しているといえます。
デンマークの証言内容は、台湾関係法が過去35年間に果たしてきた役割を高く評価するとともに、今後の米台関係もこの基礎の上に築かれなければならないとする、バランスのとれた議論です。
証言のうち、台湾の選挙において、米国は国民党、民進党いずれの側にも片寄ってはならない、との指摘は、米国人への的を射た警告と言えます。米国は中国との関係をどう処理するかという文脈で台湾との関係を考慮することが多く、この点については、日本も同じようなところがあります。
かつて、ブッシュ(子)政権下の米国と陳水扁政権下の台湾の関係は決して順調ではなく、米台関係はしばしばギクシャクしました。2012年の選挙に際しては、米国の元AIT(在台湾代表所)職員が国民党寄りの発言をしたこともあります。
一方、台湾における学生たちの議会占拠は、約3週間を経て収拾されました。これは、王金平・立法院長(国会議長)が、「まず中台関係全体を監督する法律をつくり、そのあと、問題のサービス貿易取り決めについての協議を行う」(「先立法、再協商」)という提案をして、学生グループや多くの一般市民が、王金平の妥協案を評価して受け入れたためです。
今回の学生たちの動きに呼応して、30万~40万人の一般市民たちがデモに参加したことは、中台関係に一定の歯止めをかける必要性があると多くの台湾人が認識していることを明示しました。学生たちの抗議という形で、台湾人のもつ中国に対する不信感が期せずして浮き彫りになったと言えるでしょう。
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