2025年12月6日(土)

勝負の分かれ目

2025年8月1日

 日刊スポーツの7月17日記事によれば、元巨人の江川卓氏は自身のYouTube「江川卓のたかされ」で、広島が7月に入って7連敗を含む3勝9敗2分け(7月16日時点)と苦しむ要因に、暑さを原因に挙げた。広島は26日現在、3勝13敗3分けとさらに調子を落とす。

 広島を巡っては昨年も9月にセ・リーグワーストタイ記録となる月間20敗(5勝)を記録する歴史的大失速。このときも、スポーツニッポンの24年10月6日付によれば、プロ野球解説者の上原浩治氏がTBS系「サンデーモーニング」で、ドーム球場を本拠地とするチームとのコンディション面の差を指摘している。

どう対策すべきか

 選手の体調面への影響も出ている。

 既存球場に後から屋根を取り付けた西武の本拠地・ベルーナドームの構造は、屋根と観客席の間に隙間があり、空調設備がない。熱気がこもりやすく、夏の蒸し暑さが大きな課題となっている。

 6月27日には、西武の先発、今井達也投手が四回途中81球を投げたところで、マウンドでしゃがみ込んで緊急降板した。サンケイスポーツの記事によれば、東京・立川市内の病院で検査を受け、熱中症と診断された。この日のベルーナドームは気温27・3度、湿度81%だったという。昨年7月にもロッテ・小島和哉投手が熱中症に近い症状を訴え、緊急降板している。

 日刊スポーツの今年7月21日付記事によれば、ベルーナドームは冷涼化対策として冷風機や大規模ミストなど複数の対策を実施中だが、日本ハムの新庄剛志監督は屋根を外すという仰天プランを提言したという。

 上林氏が猛暑対策に挙げるのは▽太陽熱をためこみにくい天然芝の使用▽ナイトゲームなど日差しの強い時間帯を避ける――などで、これからの新球場は、設計段階でグラウンドでの風通しや日影位置などをシミュレーションすることも有効だという。

 一方で、「これらの対策は、猛暑の中で野球を行うという現在のシーズンを前提としている。気候変動が深刻化する中で、野球のシーズンをいつにするかという根本的な議論があってもいい」と投げかける。一筋縄ではいかない球場のドーム化と、一段と厳しさを増す猛暑対策。選手、観客にとって、快適な試合環境が問われる時代になってきた。

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