外国漁船とともに衰退するサンマ漁
日本漁船が本格的に操業を始める8月10日以前に、台湾・中国他のサンマ漁船はすでに公海で操業をはじめています。海外からは現時点で予想外にサイズが大きいという情報を聞いています。しかしそれが漁期(8~12月)を通してなのかは分かりません。
水産研究教育機構の予想は、来遊量は昨年同様の低水準。ただしサイズについては、来遊の主体となる1歳魚の体重は、昨年を上回るだろうとのことです。
前半は120~140グラム台が中心で後半は110~120グラムが主体となるという予想です。上記調査時点より漁期までに平均で20グラム程度体重は増加する見込みです。
サンマの寿命はわずか約2年。同じ回遊魚のマイワシやマサバは10年程度の寿命があるのでかなり違います。このため漁獲されるサンマは1歳と0歳なのです。
報道を通してサンマが獲れない、外国漁船が悪いと理解されている方は多いと思います。下のグラフはサンマの国別漁獲量推移です。
赤の棒グラフが日本で、20~30年前までは黒の折線グラフで示されている通り、サンマ全体の漁獲量の約8割も占めていました。今では2割程度に減っています。緑の台湾、そして青の中国の漁獲量が増えて21年には、漁獲量が3位となっています。
日本のサンマ漁獲量が減ったのは、外国漁船のせいと思われるかも知れません。しかしながら、よく見ていただきたいのは、その台湾・中国も漁獲量を減らしているということです。また、サンマの漁獲量の93%(24年・データNPFC)は公海で行われているということです。日本も含め少ない魚群を同じ漁場で獲り合っているのです。
なお公海には、かつて遠洋漁業が盛んだったころに日本が主張していた「公海自由の原則」があります。またここで強調したいことがあります。それは日本の漁船は公海で台湾・中国漁船とお互いの漁船が見えるような漁場で漁を行っていることです。
科学的根拠に基づく全体と国別に漁獲枠設定なくしては、毎年の漁獲量の凸凹はあっても、サンマ資源が中長期的に回復することはないのです。国際的な効果がある資源管理ができなければ、日本だけでなく他国漁船も含めて衰退してしまうのみです。


