サンマ漁でサンマより心配される魚
下図は、サンマ(赤)、サバ類(青)、マイワシ(黄)で、各魚種の資源量を円の大きさで示した調査結果です。赤のサンマについては低位のままで、昨年並みの漁獲量と予測されています。
サバ類(マサバ・ゴマサバの太平洋系群)については、不漁が深刻化しています。そして新たに、資源量調査と実際の漁模様からすると、マイワシの資源状態が悪化をはじめたようです。
魚種交代などと言われることがあるようです。しかしどの魚種も資源管理制度に問題があるので、凸凹を繰り返しながら右肩下がりに減少しているだけというのが実態です。魚種交代と堂々と言えるのは、資源管理ができている国の話です。
マイワシに関しては、海岸に大量に打ち上げられたりして資源が豊富のように思いがちです。マサバやサンマと違うのは、資源が環境要因で増え始めると爆発的に増えるのですが、獲れなくなると急激に減ってしまうことが長い過去のデータからわかります。
マイワシの寿命は8年程度ありますが、漁獲の大半は50グラム前後のまだ食用に向かないサイズです。お店では100グラム前後のマイワシが鮮魚や干物で売られていますが、そういった食用サイズは比率としてはわずか16.1%(下グラフ)程度しかありません。皆さんの知らないところで丸ごと大量に非食用向けに処理されてしまっているのです。
そして、水揚げの81.2%(下グラフ)が、フィッシュールや冷凍にされて非食用として主に養殖のエサに使用されています。100グラム程度に成長させて食用に回して行けば水揚げ単価が上がり、消費者にとっても恩恵があります。しかしながら現状の獲り切れない漁獲枠では、小さな価値が低いマイワシであっても、できるだけたくさん獲ってしまいます。このため資源管理制度が機能していないのです。


