2025年12月5日(金)

「永田町政治」を考える

2025年9月18日

 茂木元幹事長は、連立の相手として、日本維新の会、国民民主党を挙げ、その場合、選挙区調整より基本政策の一致を優先させるべきとの考えを表明した(9月14日のフジテレビの番組)。

 秋波を送られた維新の藤田氏は、「連立は相当高い山を越えなければ成しえない。憲法や安全保障、外国人政策など新たな社会像があわなければ難しい」(9月16日のテレビ朝日の番組)と慎重な姿勢を強調。国民民主党の玉木雄一郎代表もやはり、「連立は簡単ではない」として、所得税非課税178万円への引き上げ、ガソリン税暫定税率問題の行方を注視する考えを示した。

 就任早々の安住淳・立憲民主党幹事長は「戦後の連立は自らの基本政策は自分の家に置き、政権として何をするかで参画を決めてきた」として、穏健・中道・リベラルの路線で一致すること前提に、物価高や安全保障などの政策を各党と話し合っていきたい考えを表明した。

 一方、自民党と連立を組む公明党の斎藤鉄代表は、次期総裁について、「保守・中道というわれわれの理念と合わなければ、連立を組むわけにはいかない」(9月7日、記者団に)と述べ、極端な保守色の強い人物が登場した場合、連立離脱も辞さない強い姿勢を示している。

 これら各党主らの多岐にわたる発言は、総裁選びの構図をいっそう複雑にしている。

政権奪取の意欲に欠ける野党

 自民党総裁選は10月4日に投票が行われる。新首相を指名する臨時国会は中旬以降と伝えられる。 

 内外ともに緊急の課題が山積する中、フルスペックで総裁選びを行った上、首相指名まで時間を置くというのは悠長というほかはないが、その間に野党側からの新総裁への支持取り付け、連立協議などの時間確保が狙いのようだ。

 今回の首相指名選挙では野党側にも大きなチャンスがある。昨年の指名選挙では、衆院の決選投票で石破首相が221票、立憲民主党の野田佳彦代表が160票だった。棄権に回った維新(38議席)、国民民主(27議席)が野田氏にそろって投票していれば、結果は覆っただろう。

 非自民政権の樹立は手の届くところに来ているにもかかわらず、野党間の非自民連立政権に向けた協議は進んでいない。野党を取りまとめる力のない第一党、立憲民主党の責任は重い。

 各党間の隔たり、足並みの乱れがそれを遠いものにしているが、野党の連立協議が進まないとあれば、自民党は悠々と総裁選びを行うことができる。

 日本の政治の緊張感の欠如、機能不全に野党も責任の一端を担わなければなるまい。

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