2025年12月5日(金)

WEDGE REPORT

2025年9月22日

韓国の足元を脅かす中国メーカー

 IFAの展示会場でもミデアは会場中央に巨大な展示ブースと商談ブースを構えていた。日本企業のみならず、韓国のサムスンやLG電子などに対しても強力なライバルとなっている。

会場中央に設けられたミデアの巨大なブース

 ハイアールは三洋電機の白物家電事業を買収し、「AQUA」ブランドとして自社ブランドと一緒に商品展開する一方、老舗家電メーカーの米ゼネラル・エレクトリック(GE)の家電事業も買収した。ほかにも老舗掃除機メーカーの米HHoover(フーヴァー)やイタリアの家電大手Candy(キャンディ)なども買収し、様々なブランドで家電製品を世界展開している。

 ハイセンスは東芝のテレビ事業を買収し世界のテレビ市場でサムスンに次ぐ第2位のメーカーとなっている。日本のテレビ市場でも東芝が保有していた「REGZA」ブランドと合わせ、国内シェアナンバー1を誇っている。

 TCLは仏家電大手のトムソンから「RCA」ブランドを買収して世界のテレビ市場で上位に進出。カナダの有力携帯端末ブランド「BlackBerry(ブラックベリー)」の使用権と製造権を獲得して、グローバルな携帯端末市場で一気に知名度を上げた。音響製品にも力を入れており、日本の「ONKYO」ブランドも展開している。

 韓国の家電メーカーはサムスンとLGのいわば「二強」だが、中国メーカーには「四強」と呼ばれるミデア、ハイアール、ハイセンス、TCLがあり、さらにパソコン分野では米IBMから「ThinkPad」ブランドを買収した聯想集団(Lenovo=レノボ)、携帯端末分野では華為技術(Huawei=ファーウェイ)や小米科技(Xiaomi=シャオミ)、中興通訊(ZTE)など多数のメーカーが存在する。IFAの会場にもこうした中国メーカーが大挙して出展しており、韓国メーカーの足元を脅かしている。

トルコのOEM企業が有力メーカーに

 もう一つ存在感を見せているのがトルコの家電メーカーだ。日本の家電メーカーはかつて欧州に自前の工場を持って現地で製造していたが、家電市場の成熟とともに製造をトルコのOEM(相手先ブランド製造)メーカーに委託するようになった。

 そこから力をつけた現地メーカーが今では自社ブランドでも家電を販売するようになっている。代表的なのがVestel(ベステル)と、「Beko」などのブランドで事業展開するArçelik(アルチェリク)で、IFAの会場でもベステルが巨大なブースを構えている。

東芝とシャープのブランドが共存するトルコのベステルのブース

 ベステルは海外ブランドによる家電の製造販売にも熱心で、日本の「TOSHIBA」や「SHARP」、韓国の「Daewoo(大宇)」といったブランドのライセンスを取得し、自前の「VESTEL」ブランドと並行して欧州やロシア、トルコ語圏などで商品展開している。シャープは自前のブースも設けていたが、ベステルのブースに行くと、自社より大きい「TOSHIBA」や「SHARP」のロゴがその中に掲げられており、日本人の目から見ると、やや不思議な光景といえる。


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