日米の株式市場が好調だ。東京市場の日経平均は日銀の上場投資信託(ETF)売却の発表を受け9月19日に下落したが、翌営業日には戻し9月25日には3日連続最高値を更新した。米国市場では連邦準備制度理事会(FRB)による金利引き下げもあり、ニューヨークダウも好調を維持し9月22日に最高値を更新した。
日米とも株式市場は活況だが、米国市場については経済の現状から株高に疑問も呈されている。相互関税によるインフレ懸念もあり、雇用統計に見られるように経済も好調とは言えない。不況下でのインフレ、いわゆるスタグフレーションも予想される中での株価上昇は矛盾ではとの主張だ。しかし、説明はある。
例えば、ノーベル経済学賞受賞者ポール・クルーグマンは、サミュエルソンの有名な言葉、「株式市場は、過去5回の景気後退のうち9回を予測した」を引用し、株式市場は景気とは別物だろうとサミュエルソンの言葉を次にように説明している。
「株式市場が景気循環を事前に予測するのに役立ったことはなかったし、今もない。景気後退を懸念する十分な理由があっても株式市場が事前に警告を発した事例を見出すことは非常に難しい」
しかし、スタグフレーション懸念下の今回の株高には確かな理由がある。好調な民間投資だ。民間企業による総投資額は波を描きながらではあるが、コロナ禍以降上昇し、景気を大きく下支えしている。
この投資の伸びの中身はAI関連だ。つまりデータセンター、半導体、関連インフラへの投資だ。関連する企業の株価が上昇し、市場をけん引している。
いつまで続くのだろうか。9月20日付のニューヨークタイムズ紙は、「ウォールストリートは、データセンターのブームに何を見ているのか」と題した記事を掲げ、データセンターが、テック市場の健全性とAIバブルのリスク、両方のバロメーターになっているとし、AIへの投資に対し適切な収益があるのかとの懸念の声も紹介した。
データセンターの増設を支えるには、半導体などが必要だ。操業には電力供給、大量の水も必要だ。供給に問題はないのだろうか。
ブームはバブルなのだろうか。株高は続くのだろうか。
