財政再建には名目GDPが伸びることが大事で、名目GDPが伸びれば財政は改善されるということである。しかも、ここでは考慮していないが、名目GDPが増えれば税収も増えるので公債残高は減少できる。
財政再建に必要な名目GDPの上昇
茂木敏充氏、小泉進次郎氏も「政府債務残高の対GDP比を低下させる」のが財政再建の目標だと言っている。巷間噂されているように、小泉氏に財務省のブレーンが付いているとすれば、財務省も、名目GDPが伸びることが財政再建を助けると理解できたのだろう。
これは日本経済にとって喜ばしいことである。石破首相の名目GDP1000兆円論も、財政再建を目指す財務省の入れ知恵かもしれない。
10兆円や20兆円の赤字があっても大丈夫等などと言ったら、政府が無駄遣いして大変なことになるという意見があるだろう。たしかに、無駄遣いはいけない。しかし、幸いなことに、野党の要求は、インフレ調整減税、消費税率の引き下げ、「年収の壁」引き上げ、社会保険料の引き下げ、ガソリン・軽油の暫定税率の廃止など多くが減税である。社会保険料も政府が天引きするものだから税と同じである。減税は税金を国民の財布に戻すものだから、政府の無駄遣いにはならない。
そもそも、どれだけの速度で財政再建を進めるべきだろうか。答えはないと筆者は思う。言えることは、公債残高の対GDP比が発散してはまずいということだけだ。
20兆円の赤字でも公債務残高の対GDP比が低下していくのは、名目GDPが伸びていくからである。分子の公債債務産高の伸び率より分母の名目GDPの伸び率が高ければ必ず公債残高の対GDP比は低下していく。
世界の国々が名目GDPを伸ばしてきたのに、日本だけがデフレで伸びなかった。だから、財政改善には名目GDPを伸ばすことが重要だ。
もちろん、何が起きるか分からないのだから、ぎりぎりではなく、余裕をもって公債残高の対GDP比を低下させていくべきだろう。財政赤字は、20兆円まで膨らませることはなく、10兆円に近いところに抑えるのが責任ある積極財政ではないかと筆者は思う。
